チャットボットの作り方を7ステップで紹介!自作と外部ツールのそれぞれのメリットも
リアルタイムでユーザーの質問に答える「チャットボット」。業務の効率化や顧客満足度向上のため、多くの企業で導入が進んでいます。
当記事では「チャットボット」が求められている背景や、基本的な仕組み、そして、作り方を紹介します。
目次
- チャットボットとは?
- チャットボットが求められる背景
- 労働人口の減少
- コロナ禍による非接触環境への移行
- IT企業が開発プラットフォームを提供
- チャットボットの種類
- シナリオ型チャットボット
- 一問一答型チャットボット
- チャットボットの構成要素
- UI(ユーザーインターフェイス)
- データ
- 処理プログラム
- チャットボットの作り方
- チャットボットを自社開発するメリットとデメリット
- 外部のチャットボットを利用するメリットとデメリット
- チャットボットを作る際の7つのステップ
- 1.チャットボット導入の目的を明確にする
- 2.チャットボットの要件を定義する
- 3.チャットボットのUI(ユーザーインターフェイス)設計
- 4.チャットボットのキャラクター・会話トーンの設計
- 5.チャットボットの会話データを作成する
- 6.チャットボットの導入テストを行う
- 7.チャットボットをチューニングする
チャットボットとは?
「チャットボット」とは、ユーザーの問いかけに対して自動的に答えを返し、コミュニケーションするシステムです。
語源は、インターネットを介してリアルタイムに文字でコミュニケーションをする「チャット」(chat)と、ロボット(自動化)をあらわす「ボット」(bot)を組み合わせた造語です。
現在、「チャットボット」は、さまざまなシーンで用いられています。
- ユーザーの問い合わせページに設置してカスタマーサポートとして利用する
- ECサイトで商品を案内する
- サイネージに搭載して駅や施設を案内する
- 社内のヘルプデスクとして利用する
- スマートフォンに搭載されている「Siri」のようなAIアシスタント
- 家庭で使われる「Alexa」のようなAIアシスタント
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チャットボットが求められる背景
現在、「チャットボット」は多くの企業に導入が進み、国内で急成長しています。その背景を紹介します。
労働人口の減少
日本では少子高齢化が進展し、労働人口の減少が問題になっています。これによって、人材獲得競争が激しくなり、採用コストの高騰や人材を充分に確保できなくなることが予測されます。
そのため、問い合わせ対応などの「人」による接客を、「チャットボット」に置き換える効率化が進められています。
コロナ禍による非接触環境への移行
コロナウイルスの感染者増加を防ぐために、「人」を用いた接客を減らすことや、コールセンターなど3密が発生しやすい環境を避け、非接触でサービスを提供できる「チャットボット」に置き換える流れがあります。
IT企業が開発プラットフォームを提供
2016年から大手IT企業がこぞって「チャットボット」開発環境の提供を開始したことで、容易に「チャットボット」が作れる環境が整備され、多くのサービスが生まれています。
- マイクロソフト:Skype Bot Platform
- Facebook:Messenger Platform
- LINE:Messaging API
- IBM:Watson Conversation
- マイクロソフト:Azure Bot Service
- Google: Dialogflow
- Amazon:Lex
チャットボットの種類
「チャットボット」には、「シナリオ型」「一問一答型」の2つの種類があります。さらに、「一問一答型」のチャットボットには、「辞書型」と「AI型」があります。ここでは、各々の特徴と、メリット・デメリットを紹介します。
シナリオ型チャットボット
「シナリオ型チャットボット」は、選択肢を用意し、ユーザーの選択によって、シナリオが分岐し、最適な回答へと導く仕組みです。フローチャート形式で、想定される質問(選択肢)と回答を予め設計しシステムに登録します。
シナリオ型チャットボットのメリット
- ユーザーは選択肢をクリックするだけなので、入力の手間がない。
- 特定の商品へ落とし込むなど、狙ったゴールへユーザーを誘導できる。
- AIなどを用いていないため、システムコストが比較的安価である。
シナリオ型チャットボットのデメリット
- ユーザーは回答まで複数回、選択肢を選ぶ必要がある。
- ユーザーが質問を入力しないため、本当のニーズがわからない。
- シナリオの設計に時間がかかる。
- シナリオで想定していない質問には答えられない。
- 答えられない場合は有人対応が必要。
一問一答型チャットボット
「一問一答型チャットボット」は、その名前の通り一つの質問に一つの回答を返すチャットボットです。選択肢はなく、ユーザーは自分で自由に質問したい言葉を入力します。
「一問一答型チャットボット」には、事前に質問と回答をセットしておき、入力されたワードから質問を検索して回答を返す「辞書型」と、入力されたワードの意味をAIが読み取り最適な回答を返す「AI型」があります。
辞書型チャットボットのメリット
- ユーザーが質問を入力するため、ユーザーが何を求めているのかのデータを採取できる。
- 分岐シナリオが不要で、質問と回答の一覧を用意するだけでよい。
辞書型チャットボットのデメリット
- 辞書にない想定外の質問には答えられない。
- 答えられない場合は有人対応が必要。
AI型チャットボットのメリット
- ユーザーが質問を入力するためユーザーニーズのデータを蓄積できる。
- 曖昧な質問にも答えられる。
- AIの精度が高まり回答率が上がれば、有人対応の量を減らせる。
AI型チャットボットのデメリット
- 精度を高めるには、学習量が必要。
- システムコストが比較的高価。
チャットボットの構成要素
チャットボットは「UI」(ユーザーインターフェイス)「データ」「処理プログラム」の3つの要素で構成されます。ここでは典型的な構成例を紹介します。
UI(ユーザーインターフェイス)
ユーザーが、チャットボットを利用する際の操作画面です。たとえば、自社ホームページにチャット入力用の窓を用意したり、ユーザーが普段使っているLINEを利用したり、駅や商業施設のサイネージを利用するなどの方法があります。
また、回答の言葉の言い回しを会話調にしたキャラクターを用意するなど、目的や用途にあわせて親しみやすいインターフェイスを実装する場合もあります。
データ
質問に対してどのように回答を返すか、判断基準になるデータです。
シナリオ型の場合
ユーザーの質問を想定して、フローチャート形式で回答に導くシナリオデータを作成し登録します。
辞書型の場合
一問一答で、想定される質問と回答の一覧を作成し登録します。
AI型の場合
データセット(質問と回答のパターン)を登録し機械学習にかけると、回答のルールやパターンをコンピュータが作成します。以降は、ユーザーの利用に応じてデータが蓄積され学習することで回答の精度があがっていきます。
処理プログラム
ユーザーの質問に対してデータと照らし合わせ、適切な回答を出力する役割を果たします。
シナリオ型の場合
ユーザーが選んだ選択肢に従って、あらかじめ登録してあるシナリオ通りに分岐し回答を出力します。
辞書型の場合
ユーザーが入力した言葉を、あらかじめ登録してある質問一覧から検索し、対となる回答を出力します。
AI型の場合
ユーザーが入力した言葉の意味を推測し、最適と思われる回答をAIが判断して出力します。
チャットボットの作り方
「チャットボット」の作り方は、大きく分けて2つあります。自社で「オリジナルチャットボット」を開発する場合と、外部の業者が提供するパッケージ商品「チャットボットツール」を利用する方法です。
ここでは、自社開発とチャットボットツールを利用する場合のメリット・デメリットを紹介します。
チャットボットを自社開発するメリットとデメリット
メリットは、自社のサービスに最適な「チャットボット」を作成できることです。自社内のほかのシステムとの連携や、独自機能により他社との差別化も可能です。
一方、デメリットは、高度な専門知識や技術が必要で、仕様策定や開発・導入までに、時間がかかることと、導入後のバージョンアップやメンテナンスも自社で行う体制を作る必要があります。
外部のチャットボットを利用するメリットとデメリット
既にパッケージとしてできあがっているツールを利用するので、高い技術を有してなくても、短い期間で導入できるのがメリットです。
一方デメリットは、「チャットボットツール」によって機能が異なり、「できること」「できないこと」があります。そのため、ツールが自社の課題解決につながるのか、慎重に選ぶ必要があります。
また、多くのツールは月額制の料金体系を採用しており、毎月コストが発生します。
チャットボットを作る際の7つのステップ
チャットボットを作る際には、事前の目的や導入要件の定義などいくつかのステップを踏む必要があります。ここでは7つのステップに分け紹介します。
1.チャットボット導入の目的を明確にする
「チャットボット」の導入でどのような課題を解決するのか、サービスを提供する対象や導入目的を明確にしましょう。また、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を事前に設定し、導入効果を検証し改善と対策を繰り返すことが重要です。
2.チャットボットの要件を定義する
目的を達成するために必要な機能や、どこに設置するのかなどの必要な要素を洗い出し、要件を定義しましょう。
要件を元に、「シナリオ型」にするのか「一問一答型」にするのか、「一問一答型」ならば、「辞書型」にするのか「AI型」にするのか、導入するチャットボットの種類を決めましょう。
また、自社で開発を行うのか、外部の「チャットボットツール」を利用するのかを検証し、自社開発ならば外注先や開発体制の構築を行い、外部の「チャットボットツール」を利用するならば、各社の資料を比較検討し、自社に最適なツールを選びましょう。
3.チャットボットのUI(ユーザーインターフェイス)設計
目的にあわせた、UI(ユーザーインターフェイス)を設計しましょう。自社のホームページのどこに設置するのか、それともLINEなどのすでに普及しているツールを活用するのか、社内導入しているSlackやTeams等のコミュニケーションツールに対応させるのか、施設に設置されたサイネージを利用するのか、色やデザイン、入力のしやすさなど使いやすさを追求しましょう。
4.チャットボットのキャラクター・会話トーンの設計
イメージキャラクターの設定や、親しみ易い話し言葉を使うなど、目的や想定顧客にあわせたコミュニケーションの設計をしましょう。顧客とのエンゲージメントを高めることができます。
5.チャットボットの会話データを作成する
質問に対する答えのデータを作成します。「シナリオ型」の場合はフローチャート形式で、選択肢と分岐先、回答を作成します。「一問一答型」の場合はエクセルやスプレッドシートで、質問と対になった回答の一覧表を作成します。
6.チャットボットの導入テストを行う
「チャットボット」は、ちょっとしたシステムの不備などで予想外の動きをする場合があります。不適切な案内をすることで、ユーザーに不快感を与えてしまうこともあります。公開前に入念なテストを行い、問題がないかテストしましょう。
7.チャットボットをチューニングする
サービスの公開が終わりではありません。より精度が高まるように会話データを修正していきましょう。「シナリオ型」の場合は、シナリオのフローのどこで離脱しているのか、時間がかかっているのか、などデータを採取し、お客様を正しく誘導できているか確認しながら改善を進めましょう。「一問一答型」の場合は、ユーザーが入力したデータを計測できます。正しく答えを返せているか、隠れたユーザーニーズの発見を行い、会話データを追加・修正していきましょう。
蓄積したデータは、「チャットボット」の改善だけでなく、マーケティングや営業などの関連部署に共有し、全社の資産として有効活用していきましょう。
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