2020.11.05(最終更新:2021.12.27)

チャットボットを導入してコンタクトセンター(コールセンター)を効率化するには?

ユーザーからの製品やサービスについての疑問や不満を解決する「ユーザーサポート」は、顧客の信頼を獲得し、製品やサービスを定着させるために、たいへん重要な業務です。

ユーザーサポートのチャネルは多様化しており、各経路をうまく組み合わせながら、顧客情報やサポート履歴を一元で管理・分析し、効果的にユーザーとコミュニケーションをはかりたいものです。

ユーザーサポートのなかでも、今回は、「コンタクトセンター」での電話サポートについて考えてみます。

ユーザーサポートの重要性とチャットボットを活用したコンタクトセンターの効率化

チャットボットを活用してコンタクトセンター(コールセンター)を効率化するには?

有人でのサポート、特に、電話サポートは、企業にとって人件費を含め高コストになりがちです。可能な限り、ホームページ上でのQ&Aによるユーザー自身での解決や、チャットボットを活用した自動対応での解決を促しましょう。

場合によっては、有人対応でも電話サポートよりは効率的である有人チャットとも連携しながら、電話サポートによる対応の絶対量を減らし、効率化したいものです。

とはいえ、電話でユーザーと丁寧なコミュニケーションをはかることで、自社のより高単価な商品の購入(アップセル)や、関連商品などの購入(クロスセル)につながる可能性もあり、また、解約防止などに結びつくこともあります。他チャネルと連携しながら、ユーザーの属性やタイミングなどを見極めて、効果的に電話サポートを活用する仕組みを整えることが大切です。

コンタクトセンターにおける電話サポートの概要と課題

チャットボットを活用してコンタクトセンター(コールセンター)を効率化するには?

まずは、コンタクトセンターでの電話サポートの概要と課題について説明します。

電話サポートの概要

電話によるユーザーサポートは、従来からの古典的な手法です。

電話サポートは、ユーザーにとっては、最も確実に、そして親身にサポートを受けられます。ホームページでQ&Aを探したり、メール文を作成したり、チャットを起動したりするようなネットリテラシーも不要であり、特に、シニア層には必要なチャネルでしょう。業種・業態・ユーザー属性などにもよりますが、高コストであっても、完全になくすことは難しいケースが多いでしょう。

企業にとっては、ユーザーからの受電によるユーザーサポートのみではなく、効果的に能動的な電話サポートを行うことで収益増強につなげやすいツールです。他チャネルと紐づけて、有効に活用したいものです。

電話サポートの課題と展開

電話サポートはユーザーの満足度を高めるために効果的な手段ですが、課題もあります。ここでは、課題と展開について考えます。

ユーザーにとっては、電話サポートの繋がりにくさや、オペレーターによるサービスレベルのムラを、不満に感じる方もいるでしょう。

そこで、オペレーターに繋ぐ前に、自動音声応答にて適切なオペレーターや部門へ振り分けることで、オペレーターの専門化と効率化をはかるIVR(Interactive Voice Response/自動音声応答装置)は、多くの企業で導入されています。最近では、電話とコンピューターを統合したCTI(Computer Telephony Integration/コンピューター電話統合)という技術で、着信した電話番号によりユーザーを特定し、電話を受ける前に個人情報を表示させたり、オペレーターへの最適な電話の割り振りを行ったりすることなども可能になっています。

企業にとっては、電話サポートはユーザーからのクレーム対応も多く、オペレーターにはストレスフルな職種といえます。一般的に非正社員が多く、離職率も高くなりがちで、企業においては、人材確保が極めて難しい職種の一つです。

また、そのほかのサポートチャネルに比べ人件費が高く、活動するためのスペースコストもかさむため、外部委託への移管を含め体制の見直しに踏み切る企業も多くなっています。さらに、コロナ禍における働き方改革の一環として、在宅勤務によるリモートでの電話サポートも進みつつあり、変革を求められている業務といえます。

コンタクトセンターの代替手段となる有人チャットとチャットボット

チャットボットを活用してコンタクトセンター(コールセンター)を効率化するには?

次に、コンタクトセンターでの電話サポートの代替手段として、有人チャットとチャットボットについて説明します。電話サポートか、有人チャット・チャットボットかという択一ではなく、各チャネルを効果的に連携して活用することが重要です。

有人チャット

ユーザーにとっては、有人チャットは、電話サポートのようにオペレーターに繋がるまで待たされない、テキストとして残るというメリットがあります。

企業にとっても、1名のオペレーターが、同時進行で複数のユーザーへのチャット対応を行うことが可能であり、電話サポートより効率的です。口頭のみでのやりとりに比べ、図を使ったり、リンクや動画を送ったりすることで、ユーザーの理解も進み、解決に導くことが容易となります。

また、最近では、AIが回答の候補をオペレーターに提示し、最終的には、オペレーターが内容を選択・修正してユーザーに送るという仕組みもあります。これは、完全に自動で回答するチャットボットに対し、AIとオペレーターが連携して対応するものであり、「半自動チャット」と呼ばれています。

有人チャットは電話サポートに比べ効率的であるとはいえ、やはり有人対応であるため、人件費やスペースコストなどは発生します。オペレーターの在宅勤務への切り替えなどが検討されていることは、電話サポートと同様です。

チャットボット

チャットボットは、24時間365日、シナリオや一問一答形式のルールに従って、無人で自動で瞬時に回答が可能です。AIを搭載すれば、機械学習により、入力された言葉や文脈を理解し、さらに自然で適切な回答ができるようになります。

しかしながら、チャットボットのみで解決できない場合も多く、有人チャットやコンタクトセンターなど有人での対応にスムーズな切り替えを誘導する仕組みが必要になります。

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電話サポートとの連携

ユーザーが問い合せをしたいと考えた時に、まずはホームページ上の充実したQ&Aなどで解決を促すことが望ましいでしょう。

Q&Aがチャットボットとして整備されていると、ユーザーはより早く回答にたどり着けます。チャットボットでは、シナリオを適宜追加したり、AIによる機械学習を進めたりして、精度を向上させ、できる限り無人の自動対応で解決できるのが望ましいでしょう。

Q&Aでもチャットボットでも解決できなければ、有人チャットや電話サポートに繋ぐことになります。顧客情報やサポート履歴が一元管理されていれば、ホームページ上でのQ&A閲覧履歴や、チャットボットでのやり取りの履歴を、次のチャネルにしっかりと引き継ぐことができます。

顧客にストレスを感じさせることなく、早期の解決に結びつくわけです。

まとめ

チャットボットを活用してコンタクトセンター(コールセンター)を効率化するには?

上記で紹介した電話サポート、有人チャット、チャットボットのほかにも、FAX、メールやWebフォーム、SMS(Short Message Service/ショートメッセージ)、FacebookやTwitter、LINE@など各種SNS(Social Network Service/ソーシャルネットワーク)など、サポートチャネルは多岐にわたります。

チャネル間の連携(=オムニチャネル)により、チャットボットなどを活用したコンタクトセンターの効率化を含め、ユーザーと企業にとって最適なサポート体制を構築して、顧客満足度の向上をはかりましょう。

しかし、多くの企業にとって、各チャネル間の連携、個人情報やサポート履歴の一元管理、オペレーターの在宅勤務などにかかる体制作りやシステム導入など、ユーザーサポートを効率的に運用するための仕組みをすべて内製化することは困難といえるでしょう。

必要に応じて、外部の管理ツールを活用したり、業務の一部をアウトソースしたりすることも、検討してはいかがでしょうか。