効果的なチャットボット導入とは?メリットや事例を紹介
新型コロナウイルスの影響により、多くの自治体や企業でのチャットボットの採用が加速しています。
この背景として、直接の対面を避けることができ、24時間365日稼動するため緊急性の高い問い合わせにも対応できるといったチャットボットのメリットが挙げられます。
この他にもチャットボットには業務改善や売上向上につながる効果があります。ここでは具体的な事例を用いて分かりやすく説明していきます。
目次
チャットボットが普及している理由
チャットボット(chatbot)とは、双方向の対話「チャット」と自動で回答する「ボット(ロボットの略語)」の2つの単語を合わせた用語です。
そして現在、多くの企業が採用し主流となっているのが人間との自然な対話を実現できるAIチャットボットです。
AIチャットボットがここまで普及したのは、2016年にFacebookとLINEが技術者向けに公開した開発プラットフォームやAPI(※1)がきっかけと言えるでしょう。
ある調査では(※2)、国内におけるAIチャットボットの市場規模が年々増加し、2022年には132億円まで拡大すると予測しています。
チャットボットを導入することで、コスト削減、営業時間外のユーザーとの接点拡充、新しいチャネル創出など、ビジネスにおける課題解決への期待が寄せられています。比較的安価な価格で導入ができ、費用対効果が高いこともメリットのひとつです。
チャットボット導入のメリットや効果について、次でもう少し詳しく説明します。
※1.「API」とは、”Application Programming Interface”の略で、汎用性の高い機能をプラットフォーム側で開発・提供する仕組み
※2.参考:矢野経済研究所「国内の対話型AIシステム市場は今後5年で10倍以上の規模に拡大する見通し」
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チャットボット導入のメリットと期待できる効果
チャットボットを導入することで、主に次のメリットや効果が期待できます。
- カスタマーサポートの負荷軽減
- 24時間365日対応で顧客満足度の改善
- コンバージョン向上の可能性UP
- キャラクターを活かした顧客エンゲージメント向上
カスタマーサポートの問い合わせページにチャットボットを導入すると、よくある質問にチャットボットが答えてくれます。
これによってオペレーターの時間確保につながり、より重要度の高いお客様への対応に時間をかけることができます。
次にチャットボットは24時間365日、ユーザー対応が可能です。
ユーザーは時間や場所を選ばないため、いつでも気軽にお問い合わせができ、顧客満足度の向上につながります。また電話やメールでのお問い合わせでは敷居の上がる、若年層へのリーチ増加も期待できます。
さらにチャットボットは、ECサイト、サービス販売サイト、サービス予約サイトにおけるWebマーケティングのサポートツールとしても活躍します。結果としてコンバージョン向上の効果が生まれます。
また、「チャットボットキャラクター」と呼ばれる、チャットボットと企業のイメージキャラクターやマスコットを連動させた導入手法もあります。
キャラクターの世界観を大切に、話し方や性格をチャット上で再現し、まるでユーザーがキャラクターと2人だけで対話しているかのような体験を創出することで、ファンを増やすきっかけになります。
チャットボットを導入した事例とその効果
実際にAIチャットボットを導入した企業の事例を紹介します。各企業の課題感に対する解決策や効果について掲載していますので参考にしてください。
事例1.旅行情報サイト:ハワイ旅行予約への送客を実現
旅行者のニーズが多様化している中、旅行予約サイト上でキャンペーンやおすすめランキングなどの情報を展開するだけでは、思ったほどの効果が出ない問題。またWeb広告、SNS施策、SEO対策などでせっかく訪問者の増加に成功しても、回遊率やコンバージョンの向上がうまくいかないなど様々な課題があるかと思います。
ハワイ旅行サイトを運営するとある大手航空会社は、このような課題解決のためにチャットボットの導入を決めました。結果として、多くのユーザーとの対話が生まれ、ハワイ旅行予約への送客へとつながりました。
またチャットボットのキャラクターには、生まれたばかりのウミガメのイラストが採用されました。度重なるユーザーとの対話によって、AIによる回答精度が次第に上がっていき、より多くの質問に答えられるようになったタイミングで、大人へと成長したウミガメのイラストに変更。
この工夫により、ユーザーがウミガメの成長を見守っているような感覚を覚え、長く寄り添ってもらえる要因となりました。
事例2.就職活動:採用担当者の作業軽減・学生のお問い合わせ数向上
採用担当者は基本的に営業時間内しか対応できず、また学生からのお問い合わせメールの対応に忙殺され、1日が終わることも珍しくないでしょう。さらに総務課と兼任している担当者であれば、業務が全く回らなくなることもあるはずです。
こちらの事例では、チャットボットを導入してから採用担当者の問い合わせに対応する時間が大幅に減少。またチャットボットは24時間365日稼動するため、問い合わせの取りこぼしの解消にもつながりました。
そして時間が生まれたことにより、採用担当者は優先度の高い業務に集中できるようになったのです。さらに学生にとっても時間や場所を選ばず、気軽にチャットボットで質問できるため、双方にメリットが生まれました。
また、就職活動中の学生の疑問や質問を徹底して解消し、仕事を知ってもらうためにもチャットボットが活躍しました。学生からの質問に対してAIの先輩社員が答えるもので、結果として学生エンゲージメントの向上につながりました。
事例3.キャラクターコラボ:新たなチャネル創出によるファン増加
テレビ番組が放送された後、視聴者は LINE や Twitter などのソーシャルメディアを活用し、高揚感のあるうちに感想の共有などを楽しむ傾向にあります。ただその他の新たなチャネルを利用して、視聴者との関係性をより築き、ファンを増やす方法はないのでしょうか?
あるテレビ局では、テレビドラマの登場人物をチャットボットのキャラクターに採用し、LINE上で公開するといった試みを行いました。
ドラマ上の世界観を再現して設定されたこのサービスは、登場人物たちとユーザーだけの空間の中で、まるで登場人物本人とチャットで対話しているかのような体験を楽しむことができます。中にはチャットボットでの会話のスクリーンショットを Twitter 上にアップするなど、ソーシャルメディア上で多くの反響が生まれました。
また番組の回が進むにつれてチャットボットが成長するため、ユーザーの番組への関心度が深まる流れを生み出すことにも成功しました。
事例4. Q&Aサイト(恋愛コーナー):悩めるユーザーへ最適な回答
「恋愛」というテーマのように、相談や悩み事の難易度の高い問いに対し、自動的に回答するサービスが存在します。実はAIチャットボットもそのサービスの1つに当てはまるのです。
当社運営の『教えて!goo』サイトの「恋愛カテゴリー」にAIチャットボットを導入した結果、ユーザーが「共感」を感じる人間らしい自然な回答、また最適な回答を導き出す事に成功しました。
これは『教えて!goo』に蓄積された3000万件のQ&Aデータを活用し、単語の意味、Q&Aの対応関係、回答文の組合せをディープラーニングに学習させます。そして様々なパターンに対応するモデルを構成することで実現しました。
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チャットボットで失敗しないための施策ポイント
ここまでチャットボットの効果や導入事例などを紹介してきました。ただ気をつけたいのが、チャットボットを導入しただけで様々な課題が解決するわけではないということです。
せっかく導入したのに失敗した、という事態に陥らないために、次の5つの対策について解説します。
対策1.最初のゴール設定を明確にする
まずやるべきことは、最初のゴール設定を明確にすることです。これは回答範囲を狭めて、ユーザーへの回答精度を上げることにも関係します。
対策2.メンテナンスに注力にする
チャットボットは公開して終わりではなく、必要に応じて修正対応を行い、回答精度を上げることが大事です。これを怠るとユーザー離脱の増加という深刻な状況に陥ってしまいます。
対策3.AIに過度な期待をしない
3つ目のAIに過度な期待をしないとは、対策2に通じるものがあります。AIチャットボットは万能ではないので、初期構築後の地道な修正対応が成功へと導く鍵となります。
対策4.あらかじめ選択肢を用意する
チャットボットにおけるインターフェースでは、「自由入力方式」+「選択肢」というハイブリッド型の運用のほうがユーザーの求める適切な回答に導きやすいのでベストです。その他のコツなどは下記の関連記事で詳しく紹介しています。
対策5.成果を見える化する
最後の見える化とは、チャットボットで得られた成果を報告できるようにしておく、ということです。
チャットボットを導入するにあたり、経営層の決裁が必要となるでしょう。チャットボットで手応えを感じても、運用継続のために具体的な結果や成果が示せないと続けるのは難しくなってしまいます。
あらかじめKPIを設定し、どれだけの変化があり、またコンバージョンや売上にどの程度貢献できたか説明できるようにしておきましょう。
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