2020.07.10(最終更新:2021.11.11)

FAQとチャットボットの違いは?活用されている理由とメリット

FAQシステムとチャットボットの違いは、ひとことでいうと検索するユーザーが回答を得るまでにかかる時間にあります。

かかる時間が長ければユーザーは不満を感じ、逆に短ければ短いほど、満足度が上がります。このあたりを詳しく見ていきましょう。

それぞれのメリットや課題、どうしてチャットボットがFAQシステムよりも優れているのかについて解説していきます。

FAQシステムとチャットボットのそれぞれの特長

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

最初にそれぞれのシステムの特長について解説します。

FAQシステムとは?

FAQシステムは、「よくある質問(frequently asked questions)とその回答」をデータとして蓄積し、サイト内検索をしやすくしたコンテンツ管理システムです。

特長は、ユーザーが電話やメールを使わずに済む点と、疑問・質問をサイト上で解決できる点です。

一般的には企業サイトの商品やサービスに提供されていることが多く、そのほかにも社内向けヘルプデスクとしての役割やサポートセンターのオペレーターのマニュアル支援として活用されています。

チャットボットとは?

チャットボットは「チャット」と「ボット(ロボット)」を合わせた造語で、自動応答プログラムのことを指します。

疑問・質問をサイト上で解決できることはFAQシステムと同じですが、「会話形式」のシステムで、ユーザーの質問に対し自動応答で適切な回答を返すのが主な特長です。

FAQシステムとチャットボットの違いとは?

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

冒頭でFAQシステムとチャットボットの違いは、検索するユーザーが回答を得るまでにかかる時間にあると紹介しました。どういうことなのか、もう少し詳しく説明します。

質問に対する回答のスピード

FAQシステムは、検索機能を使用することで欲しい答えが見つかります。

一方で、頻度の少ない質問に対しては解決能力が低く、知りたいことをうまく言語化しないと検索してもピンポイントで情報が見つからない、またはキーワードを変えて再検索が必要となるといった手間がかかる課題もあります。

この課題を解消したのがチャットボットです。

チャットボットは、ユーザーにあらかじめ用意した選択肢を提示して適切な回答へと導きます。自由記述のあいまいな質問に対しても、チャットボットから聞き返し質問が行われ、簡易に回答へ導くことができます。

回答の表示内容

FAQシステムでは、検索しても回答結果に複数の候補が表示され、その中から自分の欲しい回答を選ぶという煩わしさがあります。

これに対してチャットボットは、ユーザーが入力してきた質問の意図を理解し、最適な回答を導き出します。これは意図理解と意味理解が可能となって実現した機能です。

※ここでのチャットボットは「AIチャット型」を意味します。詳しくは後述します。

インターフェースの操作性

FAQシステムはユーザーの「検索」が主体となり、インターフェースは検索窓に単語を入力して回答が表示されるものです。

それに対してチャットボットは、双方向の「会話形式」でLINEやFacebookメッセンジャーなどのようなインターフェースがユーザーにとっては馴染み深く、操作がしやすいという利点があります。そして会話形式から瞬時に回答が得られるので気軽に使えます。

ここまでは2つのシステムの違いに注視しましたが、今度はチャットボットを活用することのメリットをメインに見ていきましょう。

チャットボットの主な3つのメリット

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

業務効率化

カスタマーサポートにかかってくる電話からの問い合わせ数が多いと対応に時間がかかり、お客様の電話がつながりにくくなります。すると今度はメールでの問い合わせ数が増え、メールの回答に時間がかかってしまいます。

チャットボットならお客様の問いに対してリアルタイムで適切な回答を返せます。結果的にスタッフが対応していた負荷が軽減し、より優先度の高いお客様の対応に時間をまわせます。またほかの重要度の高い業務を進めることも可能です。

一方、チャットボットは社内のナレッジ共有にも活躍します。主に人事・総務・法務・経理などのオーバーヘッド職には、社内からの問い合わせ対応が頻繁にあります。

たとえば社員から経営管理部宛てに、毎月マニュアルや資料に関する大量の問い合わせが来て、その対応に追われていたとします。しかしそこにチャットボットを導入することで、対応にかかるパワーと時間を大幅に減らすことができるのです。また、クライアント対応で社員から急ぎの問い合わせがあっても、リアルタイムで回答できるので、スピード感をもって解決できます。

顧客満足度の改善

チャットボットを導入することで、顧客満足度の改善が期待できます。

よくある質問に対してリアルタイムで適切に回答し、電話やメールでのお問い合わせのようにお客様を待たせることはありません。

チャットボットはリリース後のメンテナンスがとても重要で、しっかり注力することで回答精度をより上げていくことができます。結果としてさまざまな質問・疑問に対して、お客様の求めている回答を最短で導き出すことが可能となります。

チャットボットは「ルール・シナリオ型」と「AIチャット型」の大きく2つのタイプに分けられ、ここではAIチャット型を想定しています。

ルール・シナリオ型は、ユーザーが選ぶ選択肢をあらかじめ開発側で決めてシナリオを作り、目的の情報まで誘導させるタイプです。一方、AIチャット型は、AIを搭載したチャットボットのことで、話し言葉である自然言語をまるで人のように理解しているかのごとく最適な回答ができます。そして対話数を増やすことで回答の精度を上げていくことができます。

現在、導入されているチャットボットの多くがルール・シナリオ型です。しかしながら、ユーザーが自由に記述する質問には対応ができません。今後はユーザーの状況に応じた自由な質問にも最適な回答ができるAIチャット型に置き換わっていくことが想定されます。

新規顧客獲得の向上

チャットボットは、チャットボットへの問い合わせ数を増やし、各問い合わせに適切な対応をすることで新規顧客の獲得へつなげる可能性を高める頼もしいツールです。

24時間365日稼動し、ユーザーサポートに営業時間外でも対応できるため、これまで取りこぼしていたかもしれない商機を逃さずに済みます。また電話やメールでのお問い合わせが苦手、または面倒であるユーザーを抱え込むこともできます。

実際に当社クライアント様からは「これまで接点のなかった、インターネットが当たり前の若い世代へのリーチが増えてきた」というの声もいただいています。

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チャットボットがFAQ対応に利用される理由

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

当社が実施したアンケート調査では、過去にチャットボットを使用した経験のある方に「便利だと思いましたか?」と質問したところ、約76%が肯定的な回答であることがわかりました。

この主な理由としては、「時間や場所を選ばない」「電話やメールを使わなくて済む」というものでした。

「時間や場所を選ばない」とは、24時間365日稼動のチャットボットの特長を指します。そのため、ユーザーは時刻を気にすることなく問い合わせできるわけです。またチャットベースのやりとりのためオペレーターと話す必要がなく、通勤や通学中、休憩時、にぎやかなカフェなど場所を選ばずに利用できます。

次の「電話やメールを使わなくて済む」とは、「コールセンターにつながる順番待ちやメールの返答を待つ必要がない」「電話で話すのが苦手なので代替ツールとして使える」などを指し、既存の問い合わせに関する不満が解消される点が好まれる回答となりました。このほかにも通話料金がかからなくて済む、オペレーターよりチャットボットの案内内容の方が信用できるなどの理由が挙がりました。

調査の結果をまとめた下記の図も合わせてご覧ください。

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

※出典:当社調べ「goo AI × DESIGN「チャットボット実態調査」 レポート2019」

FAQ対応チャットボットの導入を成功に導くために

チャットボットとFAQの違いは?活用されている理由とメリット

ここまでで、チャットボットは業務負担を減らし、いつでも対応してくれるのでユーザーとの接点増加、新規顧客にも結びつく万能なツールのような印象ですよね。

メリットの面だけを見るとその通りですが、これはあくまでうまく運用ができることが前提となります。

チャットボット導入を成功へと導くためには、明確なゴール設定、そして継続的なメンテナンスが重要です。

明確なゴールを設定することでFAQの範囲を絞り込むことができます。すると質問に対する回答範囲を絞り込めるため、チャットボットの回答精度が上がります。また、ユーザーに「〇〇についてお答えするチャットボット」と内容を明示でき、操作のしやすい状況を作ります。

リリース直後の初期設定だけでは回答精度が十分ではなく、ユーザーの満足度を得られないことが往々にしてあります。つまり、継続的なメンテナンスが必要となるのです。

この課題を改善するためにログデータを確認して、表記ゆれ・想定外の質問のされ方・想定外の回答範囲など、改善すべき点が見えてきます。これを地道に修正していくことで回答精度をより上げていきます。

さらに詳しく知りたい方は下記の関連記事をお読みください。



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