2021.03.10(最終更新:2021.03.23)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

デジタル技術は社会を大きく変革しました。人々はインターネットでつながり、デジタルデバイスの画面を通してコミュニケーションを深めるようになりました。音楽はCDを購入するのではなくダウンロードやストリーミングで聴く時代になり、レストランの予約も映画のチケット購入もタクシーの配車も、今や実に多くのことがスマートフォン一つで完結します。

そうした変化の波はビジネスにも押し寄せています。デジタルの活用によりビジネスを変革し、社会に新たな価値を提供することが企業に求められているのです。

デジタル技術によりビジネスを変革することを「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼びます。DXとは具体的に何をすることなのか、DXによるメリットとは何か、どのように推進していけばいいのかなどについて詳しく説明します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

日本政府は2018年12年にとりまとめた「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」にて、DXを次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

簡単にいえば「デジタル技術を用いてビジネスモデルや企業文化などを変革し、競争に打ち勝っていこう」という考え方です。

DXというと近年注目され始めたイメージがありますが、考え方そのものが生まれたのは20年近く前のことで、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念がもとになっているとされています。

ちなみに、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)なのに略語が「DT」にならないのは、英語圏で「Trans」を省略する際、「X」が用いられるのが一般的だからです。

DXとデジタル化(IT化)の違い

DXはよく、デジタル化(IT化)と混同されます。両者は重なる点もありますが、同一の概念ではありません。

デジタル化とは業務やビジネスの一部をデジタルに置き換えることです。英語では「デジタライゼーション」と表現されます。

それに対して、DXはデジタル技術を活用してビジネスモデルの変革や新たなビジネスの創出を目指すことをいいます。もちろん、デジタライゼーションによる業務効率化も重要ですし、DXを推進する課程で取り組むべき施策の一つではあります。しかし、デジタライゼーションを進めただけではDXを推進したことにならないのです。

なぜ今、DXが必要とされているのか。推進することのメリットも紹介

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

なぜDXが注目されているのでしょうか。それは、デジタル技術を活用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、あらゆる産業でゲームチェンジが起きつつあるからです。

そうした状況のなかで企業が生き残っていくためには、デジタル技術で新たなビジネス価値を創出して既存のビジネスから脱却すること、つまりDXが必要なのです。

実際にアジア15カ国の企業幹部を対象としたアンケート調査(出典:IDC InfoBrief)によると、DXを推進している企業は多くの恩恵を受けているという結果が出ています。

具体的に見ていくと、DX戦略により収益の3分の1以上をデジタル製品とデジタルサービスから得ている”リーダー企業”では、そうでないフォロワー企業に比べて、「生産性の向上」で2.1倍、「コスト削減」で2.4倍、「利益向上」で2.5倍、「新製品やサービスによる売上」で1.9倍もの違いを生み出しています。

DXを推進することで、コスト削減や売上増、生産性の向上といった恩恵を受けられることがデータでもはっきりと示されているのです。

急激に変化する消費者ニーズへの対応

消費者の価値観やライフスタイルは短期間で大きく変化しており、これまでのビジネスの常識は通用しなくなっています。

たとえば、大きな変化の一つとしてよく例に挙がるのが「モノ消費」から「コト消費」へのシフトです。現在の日本は価格が安く品質が良いモノが世の中にあふれており、消費者にとって必要なモノは何でも簡単に手に入る状態です。そうなると、人々の興味関心はモノではなく、旅行やレジャー、習い事といった体験、つまり「コト消費」へと向いていくのです。

このコト消費へのシフトに拍車をかけるのが、製品のコモディティ化です。家電やスマートフォンなどのデジタル製品がとくに顕著ですが、製品に新しい機能を搭載してもすぐ他社に真似されて横並びになってしまいます。その結果、製品は品質や機能での差別化がしにくくなります。こうした状況をコモディティ化と呼びます。

コモディティ化が進むと、結果として価格競争になり、利益を減らしてしまう可能性もあります。そうした事態に陥らないためには、製品のスペックだけではなく、ブランドがもつ世界観や製品が生まれたストーリーなどを打ち出し、付加価値をつけることが大切になります。

さらに、インターネットの普及に伴って膨大な情報を簡単に手に入れられるようになり、消費者のニーズは多様化しています。ヒットする製品を生み出しビジネスを成功させるには、細分化する消費者のニーズを的確につかむ必要があります。

このような消費者の価値観、ライフスタイルの変化に対応するためにも、DXの推進が重要になります。たとえば多様化する消費者ニーズをとらえるためには、顧客データや製品の売上データなど、さまざまなデータを収集し分析しなければなりません。

あるいは製品をただ販売するだけでなく、それに付随してAIチャットボットによるサポートのような”体験”を提供して差別化を図るのも大切です。消費者のニーズの変化に対応するためには、DXの推進が欠かせないのです。

コロナで浮き彫りになったDXの必要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大で激動の年になりました。コロナの拡大によりさまざまな業界が影響を受けるなか、DXを推進していたかどうかがビジネスの明暗を分けるケースも見られました。

オンラインを活用したリモートワークの推進もその一つです。以前からデジタル投資を行っていた企業がスムーズにリモートワークに移行し生産性を上げるなか、準備が不十分なまま必要に迫られてリモートワークを導入した企業は逆に生産性を落としてしまうことになりました。

また、ビジネスにデジタル技術を取り入れることで、”非接触”という消費者のニーズに対応できた企業もあります。たとえばアプリから気軽に料理のテイクアウトと決済ができるUber Eatsなどはその最たる例といえるでしょう。

このほかにも、カメラと顔認証技術を用いて無人で入店と決済が可能な店舗や、オンラインを活用した習い事などの新しいビジネスモデルが登場しています。

企業がDXを推進することのメリット

では、企業がDXを推進することでどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは大きく3つにわけて紹介します。

業務改革、業務効率化につながる

業務をデジタルに置き換えて効率化を図るデジタライゼーションはDXと同一の概念ではないと前段で述べましたが、DXを推進するうえで生まれるメリットの一つであることは確かです。

DXでビジネスモデルを改革していく流れのなかで、デジタル技術の活用による業務改革が進めば、ビジネスをより加速できることでしょう。

新たな製品、サービス、ビジネスモデルの創出につながる

DXの最大のメリットとなるのがこの点です。最先端のデジタル技術と既存のビジネスモデルを組み合わせることで、新たな製品やサービスを生み出せる可能性があります。

また、顧客データを分析することで消費者のニーズを的確につかみ、既存ビジネスの成長も期待できます。

BCP(事業継続計画)の構築につながる

コロナ禍における対応にデジタル技術が重要な役割を担ったことからもわかるように、DXを推進することはBCPの構築にも役立ちます。感染症対策だけではありません。日本は地震、台風、豪雨などの自然災害が多く、被害を受けたときのことをしっかりと想定しておく必要があります。

DX推進の現状と課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

現在、多くの企業がDXの推進に取り組んでいます。また、日本政府もDXを後押ししています。こう聞くと、国内企業におけるDXは随分進んでいるという印象を受けるかもしれません。しかし、実際にはそううまくいっていないのが現状なのです。

経済産業省が2019年にまとめた「『DX 推進指標』とそのガイダンス」には次のように記されています。

「経営者がDXの必要性を認識し、デジタル部門を設置するなどの取組が見られるものの、実際のビジネス変革にはつながっていないという状況が、多くの日本企業に見られる現状と考えられる」

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査でも同様の結果が出ています。多くの企業が「ビジネス変革の必要性」を強く認識しているにも関わらず、DXへの取り組みは「業務の効率化による生産性の向上」にとどまっており、DXの本来の目標ともいえる「新規製品・サービスの創出」まで進んでいる企業は半数程度しかないのが現状なのです。

なぜ日本企業のDX推進は十分とはいえない状況が続いているのでしょうか。

DXを進めるうえでの課題

日本企業のDXがなかなか進まないのには、いくつかの理由があります。まず、IT関連費用の8割がDXのような”攻め”のIT投資”ではなく既存システムの維持管理に使われていることです。

既存システムの保守・運用費が高騰する理由は、多くの企業が短期的な観点でシステム改修を繰り返した結果、システムが複雑化・ブラックボックス化してしまっているからです。誰も手がつけられず”技術的負債”となってしまったシステムを刷新できない限り、DXを進めるどころか、2025年以降に大きな経済損失が生じる可能性があるといわれています。なぜ2025年かというと、SAP ERP(※)がサポートを終了し、IT人材の不足数が約43万人にまで膨れ上がると予想されているのが2025年だからです。これが、いわゆる「2025年の壁」問題です。

※ドイツ発のSAP社が提供するERP(Enterprise Resource Planning「企業資源計画)のこと。SAP ERPは受注・販売管理、在庫管理、生産管理、財務管理といった基幹業務システムから、人事給与、経費精算、固定資産、プロジェクト管理、管理会計、顧客管理、予算管理など、幅広い業務に対応しています。

DXを推進するための「DX推進人材」が大幅に不足していることも大きな課題です。IPAがDX推進人材について企業にアンケートをとったところ、「大いに不足」との回答がもっとも多くなり、とくにDXのリーダー的役割を担うプロデューサーや、データ解析などの技術に精通したデータサイエンティストやAIエンジニア、DXに関するシステムを設計できるアーキテクト、ユーザー向けのデザインを担当するUXデザイナーといった人材については、「大いに不足」という回答が半数前後にも達しているといいます。

DXをどのように推進していけばいいのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

前途多難な日本企業のDX推進ですが、目の前の課題と向き合って少しずつでも歩みを進めることが大切です。ここでは、今後どのようにDXを推進していけばいいのかと、DXを支えるデジタル技術について解説します。

経済産業省のガイドラインが示すDXの推進方法

まずは、自社のDXがどこまで進んでいるのかについて、経済産業省が示す「DXの成熟度レベル」に基づき評価してみましょう。成熟度レベルは「レベル0」から「レベル5」の6段階に分かれ、レベル0が「未着手」の状態です。レベル1は「一部での散発的実施」で、全社戦略が明確ではないなか、部門単位での実施にとどまっている状態、レベル2は「一部での戦略的実施」で、全社戦略に基づいて一部の部門で実施している状態です。レベル3になると「全社戦略に基づく部門横断的推進」となり、仕組みが明確化され部門横断的に推進できている状態。レベル4は「全社戦略に基づく持続的実施」で、定量的な指標などによる持続的な実施ができている状態。レベル5は「グローバル市場におけるデジタル企業」を実現した状態で、ここがDXのゴールとなります。

この成熟度レベルの考え方に自社の現状を照らし合わせることで、次にどのレベルを目指すのかを認識し、そのための具体的なアクションにつなげることが重要です。

また、経済産業省はDX推進のための経営のあり方や仕組みとして、いくつかの重要なポイントを挙げています。

まずは「経営戦略・ビジョンの提示」です。DXによりどのような事業分野でどのような新たな価値の創出を目指すのか、しっかりとトップが提示する必要があります。そのうえで、「経営トップのコミットメント」も重要です。現場に丸投げするのではなく、トップがリーダーシップを発揮し、意思決定をしていかなければなりません。もしトップがそういった体質でない場合は、DX推進担当者として発想転換を提言しなければならないでしょう。

次に「DX推進のための体制整備」を進めます。新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセットを組織に醸成し、DX推進人材の確保やDX推進部門の設置等、必要な体制を整えていきます。人材の確保については、必要であれば社外との連携も検討すべきでしょう。

「投資などの意思決定のあり方」も重要なポイントです。コストだけでなくビジネスに与えるプラスのインパクトを勘案して投資判断を行い、リターンを求めすぎて現場の挑戦を阻害しないことが経営層には求められます。

さらに、DX実現の基盤となるITシステムの構築も進めなければなりません。DX推進には、各事業部門のデータやデジタル技術を活用するための基盤と、それらを相互に連携できる全社的ITシステムの構築が必要です。その際、ITシステムが複雑化・ブラックボックス化しないよう、ガバナンスを確立することも大切です。

DXを支えるデジタル技術

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?企業が推進すべきメリット

DXは必ずしも最新技術を導入しなければ達成できないものではありません。しかし、最先端の技術はやはりビジネスの可能性を大きく伸ばしてくれるものです。ここではDXを支える最新のデジタル技術について紹介します。

AI

膨大なデータを学習することで、人間のような判断力を備えたプログラムのことで、人工知能とも呼ばれます。主に画像認識や自然言語処理を得意としています。工場での検品やメールのフィルタリング、動画配信サイトのレコメンド機能など、すでにさまざまな分野で活用されています。

IoT

Internet of Things(モノのインターネット)を省略して「IoT」と呼びます。センサーなどを設置することで、あらゆるモノがインターネットに接続し、データを取得する技術です。たとえば最近ではスマートフォンから操作できる家電などが増えていますが、これもIoT技術の一種です。

5G

現在、主流となっている通信規格「4G」の次世代となる移動通信システムです。4Gと比べてはるかに大容量のデータを高速かつ安定して送受信できることから、普及すればさまざまなビジネスに大きなインパクトを与えると予想されています。すでに5Gに対応したスマートフォンも登場しており、今後ますます目が離せない技術です。

AIチャットボット

AIの一種で「チャット」と「ボット(ロボットの略語)」を組み合わせた造語です。テキストや音声で自動的に対話を行えます。多くの企業が顧客や消費者からの問い合わせ対応などに活用しています。決まったパターンでしか応答できないプログラムと異なり、過去の対話データを学習して、話している相手に応じた対話ができるのが特徴です。チャットボットを導入することにより、問い合わせの24時間365対応や、顧客へのレコメンドなどが”人間不在”のまま可能になります。AIチャットボットを導入することで、ビジネスに新たな付加価値が生まれます。比較的取り組みを始めやすいDX施策といえるでしょう。

変化の激しい時代においてビジネスを加速するためにはDXが必要です。DXを妨げている課題があるなら全力で解決に取り組み、できるだけ早くDXを推進しましょう。


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