2021.02.26(最終更新:2022.07.29)

LINE公式アカウントでチャットボットを導入するには?事例紹介も

LINEチャットボットを活用する企業が増えています。LINEチャットボットとはその名の通り、コミュニケーションアプリLINEの中で使用できるチャットボットのこと。なぜLINEチャットボットの人気が高まっているのでしょうか。

ここではLINEチャットボットについて解説するともに、導入のメリットやデメリット、企業における導入事例についても紹介します。

LINEチャットボットとは?

チャットボットをLINEで活用するメリットとは?企業の導入事例も紹介

LINEチャットボットとは、LINEアプリの中で使えるチャットボットです。LINEとは国内ユーザー8,000万人を超えるコミュニケーションアプリです。

ではチャットボットとは何でしょうか。

チャットボットとは

チャットボットとは「チャット」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた造語で、チャット形式によって対話ができるプログラムのことです。チャットボットには、特定のキーワードに対して定型文を返信する「ルールベース型」と、ユーザーの言葉を分析して臨機応変に対話できる「AI型」の2種類があります。

LINEとチャットボットの組み合わせで何ができるのか

LINEチャットボットとは、LINE公式アカウントを活用したAIチャット機能です。皆さんもお店やファッションブランドなどの公式アカウントを友だち登録したことがあるのではないでしょうか。

企業はLINE公式アカウントを活用することで、ユーザーに向けてお知らせを出したりユーザーからの質問に回答したりと、ユーザーと近い距離でコミュニケーションをはかれます。

このLINE公式アカウントのチャットを、AIによる自動返信で行えるのがLINEチャットボットなのです。

LINEチャットボットには3種類あります。「応答メッセージ」と「AI応答メッセージ」、そして「MessengerAPIを利用したチャットボット」です。このうち前者2つはLINE公式アカウントの機能として標準搭載されています。

一つずつ解説します。

「応答メッセージ」はシンプルな自動返信機能です。ユーザーから送られたチャットのテキストに含まれるキーワードに応じて、あらかじめ設定しておいたテキストを返信します。たとえば「クーポン」という単語が含まれていたらクーポンコードを送信する、といった具合です。キーワードと対応する返信メッセージはあらかじめ手動で設定しておく必要があります。

「AI応答メッセージ」はAIがユーザーからのチャットの意図を判断して、自動返信する機能です。メッセージテンプレートを用意しておく必要がありますが、あとはAIに任せておけば自動的に最適なメッセージを選んで返信してくれます。ただし、ユーザーからの質問が長すぎたり複雑すぎたりすると返信できないこともあります。

「MessengerAPIを利用したチャットボット」はLINEが公式に用意している機能ではありません。「API(Application Programming Interface)」とは、汎用性の高い機能をプラットフォーム側で開発・提供する仕組みです。ベンダーに依頼してチャットボットを開発し、LINE公式アカウントにこのAPIを連携させて使用するやり方となります。開発費はかかりますが、自社により最適化されたチャットボットがLINEで使えるのは大きなメリットです。

LINEチャットボットのメリットとデメリット

チャットボットをLINEで活用するメリットとは?企業の導入事例も紹介

LINEチャットボットには具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

LINEチャットボットのメリット

LINEというよりもチャットボット自体の特徴ですが、24時間365日いつでもユーザーからの問い合わせに即時対応できるのは大きなメリットです。いつ質問してもすぐに返事がくるのはユーザーにとっても嬉しいことです。結果として、顧客満足度を高めることにつながります。

また、こちらもチャットボット自体のメリットですが、問い合わせに対応する人件費削減につながります。スタッフは、どうしても人が対応しなければならないような複雑な質問にだけ対応すればいいので、コールセンターなどにかけるコストを削減できるでしょう。

ではLINEであるメリットは何か。これは、「LINEをプラットフォームとして活用できる」ということに尽きます。LINEは国内8,000万人超のユーザー数を誇る巨大なプラットフォームです。毎日LINEアプリを起動する人も多く、ユーザーはLINEを活用したチャットに慣れ親しんでいます。

そんなLINEをチャットのプラットフォームとして活用することで、問い合わせや注文といった利用率を高められるのです。LINEでコミュニケーションすることで、自社に対して親近感を持ってもらえることにも期待できます。

これが自社アプリや自社サイトとなると、そもそもアプリをダウンロードしてもらったり、サイトにアクセスしてもらったりする手間があるのでユーザーの利用ハードルが上がります。せっかくチャットボットを実装したのに使われないということもありえます。

LINEチャットボットのデメリット

LINEチャットボットには多くのメリットがある一方、デメリットもないわけではありません。

まず、LINEチャットボットを導入するには費用や時間がそれなりにかかるということです。費用とはLINE公式アカウントの費用です。企業がLINE公式アカウントを開設する場合、送信できるメッセージの数や追加メッセージの有無によってプランが異なります。

月額固定費が無料のフリープランであればメッセージの送信数は1,000通までとなっており、追加でメッセージを送ることもできません。一方、月に15,000通までメッセージが送れて追加メッセージも可能なライトプランは月額5,000円、月に45,000通までメッセージが送れて追加メッセージも安く送れるスタンダードプランは月額15,000円となっています。

この金額が高いか安いかはビジネスの規模によっても変わると思いますが、いずれにせよLINE公式アカウントでチャットボットを活用する場合、プランによってある程度の費用がかかることは知っておきましょう。

「MessengerAPIを利用したチャットボット」の場合はベンダーにチャットボットの開発を依頼するため、さらに追加で費用がかかります。また、開発にはある程度の期間も要します。なお、シナリオ型は開発費が比較的安価で、AI型は高額になるケースが多いです。

また、いくら高性能なチャットボットといえど、長文で複雑な内容など難しい質問には対応できないこともあります。その場合は人が対応するように切り替えるなど臨機応変に対処する必要があります。

LINEチャットボットの導入事例

チャットボットをLINEで活用するメリットとは?企業の導入事例も紹介

LINEチャットボットは多くの企業が導入し、さまざまな施策に活用しています。ここでは代表的な2社の事例を紹介します。

採用チャットボット

2019年、新卒採用にLINEチャットボットを活用したのが日本航空(JAL)です。コンセプトは「先輩社員にLINEでOB・OG訪問できる」というもの。就活生がJALについて気になっていることを質問すると、「JALで働くAI社員」という設定のチャットボットが返信してくれます。

質問内容をAIが分析し、データベースからぴったりの回答を返すというAI型のチャットボットで、質問によってはユニークな答えが返ってくることも。先輩社員と気軽に話している気になれるJALのチャットボットは、まさにLINEというプラットフォームに最適といえます。

TVドラマ連動型AIチャットボット

2019年6月末に放送されたTVドラマ「あなたの番です‐反撃編‐」に合わせる形で、ドラマの登場人物とAIチャットボットを連動した「AI菜奈ちゃん」をLINEアカウント上で公開した事例です。目的としては、ドラマの放送時間外における視聴者との接点拡充のため。

内容が“推理もの”ということもあり、「AI菜奈ちゃん」に話しかけると真犯人のヒントが得られるという想像から、SNS上では会話のスクリーンショットが投稿されるなど、多くの反響がありました。結果として130万人以上のユーザーにLINE登録されました。

NVMOサービス「OCN モバイル ONE」の問い合わせチャットボット

MVNOサービスの「OCN モバイル ONE」は2017年より問い合わせ窓口にLINEチャットボットを活用しています。MVNO(仮想移動体通信事業者/格安SIMを提供している事業者のこと)に関してユーザーから「興味はあるけれど、プランや機種の選び方がよくわからない」といった声が出ており、こうした悩みや疑問にスピーディーに回答するためにLINEチャットボットが導入されました。

「OCN モバイル ONE」のLINEチャットボットは、「リス太」というキャラクターが質問に回答してくれるというコンセプトになっています。LINEの気軽さと、可愛らしいキャラクターとが相まって、ユーザーの質問のハードルを下げる狙いがあります。

多くのユーザーを抱えるLINEはチャットボットのプラットフォームとして非常に魅力的です。費用や手間はかかりますが、うまく活用すればそれ以上のメリットを得られることでしょう。

LINE公式アカウントの料金

LINE公式アカウントは下表の通り3つのプランがあります。

フリープランライトプランスタンダードプラン
月額固定費無料5,000円15,000円
無料メッセージ通数1,000通15,000通45,000通
追加メッセージ料金不可5円~3円

無料のプランもありますが、月額固定費の「ライトプラン」と「スタンダードプラン」はメッセージ配信数に応じた従量課金制となります。

「ライトプラン」なら月15,000通まで無料、「スタンダードプラン」は月15,000通まで無料です。これを超過すると「追加メッセージ料金」を支払いが必要とあります。「スタンダードプラン」の場合、メッセージ配信数の超過分が増えるほど配信料金が安くなる仕組みとなっています。

その他より詳細については公式サイトの「料金プラン」よりご確認いただけます。

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