2020.09.08

顧客エンゲージメントとは何か?高めるための方法も紹介

近年、様々な業界でよく耳にする用語の1つに「顧客エンゲージメント」があります。

エンゲージメントは「契約」「婚約」「雇用」など幅広い意味を持つ単語で、ビジネスでは「関係性」を表す単語として用いられます。

マーケティング領域において顧客エンゲージメントは今もっとも注目されている概念であり、多くの企業が顧客エンゲージメントの構築に取り組んでいます。

ここでは顧客エンゲージメントの概念を説明するとともに、注目されるようになった背景や、顧客エンゲージメントを高めることによるメリット、高めるための方法についても解説します。

顧客エンゲージメントとは?

顧客エンゲージメントとは、製品やサービスを提供する企業と顧客との間に築かれる「親密な関係性」を表す概念です。同様の言葉に「顧客満足度」がありますが、両者の意味は似て非なるものです。

顧客満足度はその言葉の通り、顧客が製品やサービスにどれだけ満足しているかという指標で、主にユーザーアンケートなどで調査します。顧客満足度で顧客が評価する対象になるのはあくまでも「製品・サービス」であり、製品を提供する企業との関係性ではありません。

一方で顧客エンゲージメントは製品・サービスだけでなく、提供する企業も含めての顧客との総合的な関係性のことです。顧客エンゲージメントが高い状態とは、顧客がその提供企業のいわば“ファン”になっているということなのです。

なぜ顧客エンゲージメントを高める必要があるのか

顧客エンゲージメントは近年になって注目を集めるようになったキーワードです。なぜ顧客満足度ではなく、顧客エンゲージメントの重要性が注目されるようになってきたのでしょうか?

その背景には昨今の市場における情勢があります。

多くの市場でコモディティ化が進み機能による差別化が難しくなっている

かつて、製品を差別化していたのは「機能」でした。より高機能な製品を生み出すことができれば、その機能を売りにして競合製品との差別化を図ることができました。顧客も機能で製品を選ぶ時代が長く続いていました。

しかし、昨今の市場は状況が異なってきています。どんなに高機能な製品を開発しても、すぐに似た機能を持つ競合製品が登場し、機能による差別化が難しくなっているのです。

このように「付加価値だったものが一般化してしまい差別化が難しくなってしまう」ことをコモディティ化と呼びます。家電、スマートフォン、コンビニ商品、ITサービスなど、コモディティ化はあらゆる業界に訪れています。

ではコモディティ化のなかでどのように競合製品と差別化を図るべきなのでしょうか。そこで注目されているのが顧客エンゲージメントなのです。顧客エンゲージメントの高い顧客は単に製品やサービスが優れているからという理由で製品を購入するわけではありません。製品の質だけでなく、「その企業のことが好きだから」という理由で製品を購入するのです。これは企業にとって理想的な状態であるといえます。どれだけコモディティ化しても、顧客を失うことがないからです。

インターネットの普及で情報の比較検討が容易になりニーズも多様化、ユーザーの目がシビアになっている

特に2010年代以降はスマートフォンが一般に普及したことで、以前からは考えられないほど大量の情報が流通するようになりました。かつて顧客は製品知識に乏しく、店舗で専門のスタッフに相談しながら買い物をしていましたが、今は逆に顧客の方が製品に詳しい場合も少なくありません。

製品の知識を豊富に備えた顧客の目はシビアです。店舗に出向く前にインターネットで製品の比較検討を済ませていることも多いので、コモディティ化した機能を無理にアピールしようとしても見抜かれてしまいます。また、働き方や生活などの多様化にともなってニーズも細分化しており、「本当にほしい製品」でなければ顧客は振り向いてくれません。

そうした状況だからこそ、顧客と深い信頼関係を築くことができれば何よりも強い絆になります。シビアな目を持っている顧客は、ちょっとした機能や価格の違いで競合製品に乗り換えたりしないからです。

顧客エンゲージメントを高めるメリット

顧客エンゲージメントを高めることは、具体的にどのようなメリットを企業にもたらすのでしょうか。それについては興味深い調査結果が出ています。

米国の調査会社Gallupによると、顧客エンゲージメントを高めることで企業は収益を高めることができるというのです。具体的には次のような事実が明らかになっています。

  • エンゲージしている金融機関の顧客はそうでない顧客よりも37%以上高い収益をメインバンクにもたらす
  • エンゲージしている電気製品購買客は一度の訪問で使う費用がそうでない顧客よりも29%高い
  • エンゲージしているホテルの顧客はそうでない顧客よりもホテルに費やす金額が年46%以上高い

※参考:GALLUP「顧客エンゲージメント 顧客を支持者に変えよ

驚くべき数字です。顧客エンゲージメントを高めるメリットは誰の目にも明らかといえるでしょう。

なぜ顧客エンゲージメントを高めることで、これほどの収益が上がるのか。それはエンゲージすることで顧客の行動が変わるからです。

エンゲージしていない顧客は提供企業への思い入れがないので、機能や価格を中心に製品を選びます。そのため、もっと良い機能を備えた製品や同じ機能でもっと安い製品が出てくると躊躇なく乗り換えてしまいます。

しかし、顧客エンゲージメントの高い顧客は「その会社の製品・サービスだから」という理由で選んでくれるので価格を下げる必要がありません。また、少々の機能の違いで乗り換えることもないので、長く継続的に購入し続けてくれます。結果として企業の収益は向上するのです。

また、エンゲージメントの高い顧客は口コミ等で製品の魅力を広めてくれることもあります。単なるユーザーではなく製品や企業のファンだからこその行動だといえます。ファンがファンを呼ぶ状態をつくることができれば、企業の収益は安定して伸びていくでしょう。

顧客エンゲージメントを高めるためにはどうすれば良いのか

顧客エンゲージメントを高めるためには、何より顧客を理解して適切なコミュニケーションを行うことが大切です。

どんな顧客がどんな理由でその製品を選んだのか。どのように比較検討を行ったのか。購入した後はどんな使い方をしているのか。そういった顧客の行動を様々なデータをもとにしっかりと把握することが第一歩です。

そうして顧客の理解が進んだら、次は適切なコミュニケーションを継続的に行います。適切なコミュニケーションとは顧客を不快にさせず、製品や会社に好印象を持ってもらえるようなコミュニケーションのことです。

たとえば「A」という製品名で検索してECサイトを訪れた顧客に対して、まったく別ジャンルの「B」という製品をレコメンドしても意味がありません。それどころか不快にさせてしまう可能性もあります。

一方で、「A」という製品のユーザーが「B」という製品にも興味を示すことがデータなどからわかっているのであれば、広告等でおすすめしてみるのも良いでしょう。

そのほかにもメルマガ、SNS等、顧客とのコミュニケーション手段は様々あります。繰り返しになりますが、重要なのは顧客のタッチポイントに合わせて適切なコミュニケーションをとることです。タイミングと施策を誤ると顧客を不快にさせ、逆にエンゲージメントを下げることもありえるからです。

また、最近エンゲージメントを高める施策として注目を集めているのがチャットボットです。チャットボットはWebサイトに設置し、顧客とチャットでコミュニケーションができるツールです。

チャットボットのメリットは顧客の問い合わせに即座に対応できることと、顧客に対してパーソナライズされた情報を提供できることです。

現在の「顧客中心主義」の時代においては、サポートサービスの即応性と正確性がとても重要となります。顧客は、問題が瞬時に解決されたときに常に満足し、全体的な顧客体験(CX)を向上させます。チャットボットは24時間年中無休のカスタマーサポート体制を実現します。そして、不満を持つ顧客の感情を処理し、素早く問題の解決策を提供することで顧客を引き付けます。

また、メルマガや広告などの施策はどうしてもパーソナライズに限界がありますが、チャットボットは顧客の属性や購買履歴、行動履歴などをもとに一人ひとりに合わせて製品をレコメンドできます。しかもチャット形式ですから、普段慣れ親しんだインターフェースで使いやすく、まるで人間に対応してもらっているような印象を与えることができます。

これらのことから、チャットボットは顧客エンゲージメントを高めるための最良の施策のひとつといえるでしょう。さらに詳しく知りたい方は下記の関連記事も是非ご覧ください。


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施策によりファンが増えてきたら、コミュニティマーケティングも有効です。

コミュニティマーケティングとは、ファン同士が形成したコミュニティを生かして、さらにエンゲージメントを高めていくというマーケティング手法です。

影響力のある顧客を公式にアンバサダーに任命したり、オフラインイベントを開催したりしてコミュニティを支援していきましょう。コミュニティが盛り上がれば、ファンがファンを呼ぶ状態をつくることができます。

コモディティ化とニーズの多様化により、以前のように「機能で選んでもらう」ことが難しくなった現代。顧客エンゲージメントを高め顧客と良好な関係を築くことがますます求められていくことでしょう。

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