2020.10.14(最終更新:2022.07.29)

顧客接点(タッチポイント)とは何か?強化する戦略について解説

消費者のニーズや購買行動が多様化している今、あらためて注目されているのが「顧客接点(タッチポイント)」です。顧客接点を強化することで顧客満足度を向上し、顧客と長期的な関係を築くことができます。また、顧客接点を通して取得した行動データを活用することで、より細やかなマーケティングにつなげることができます。

ここでは顧客接点の基本的な説明と、強化することで得られるメリット、強化するための施策について解説します。

顧客接点とは何か?

顧客接点とは何か?強化するメリットと施策について解説

「顧客接点」とは企業や店舗が顧客と接する一連の機会のことです。マーケティング用語で「タッチポイント」とも呼ばれます。顧客と接する機会と聞いてすぐ思い浮かぶのは、BtoCなら店頭での商品販売であり、BtoBなら営業の場などでしょう。しかし、顧客接点はそれだけではありません。

たとえば顧客になりうるユーザーが街で目にするブランドの広告も顧客接点ですし、自社サイトへのアクセスがあればそれも顧客接点です。この他にも、テレビCM、チラシ、ダイレクトメール、営業活動、代理店、展示会、コールセンターの応対、SNSでの情報発信やユーザーとのコミュニケーション、メールマガジンの配信、オウンドメディアでの情報発信などもすべて顧客と企業が接する機会、すなわち顧客接点と呼べるのです。

顧客接点を強化することでどんなメリットがあるのか?

顧客接点とは何か?強化するメリットと施策について解説

リアルなアプローチを図りづらくなった現在、ビジネスにおいて顧客接点の強化はますます重要視されています。「顧客接点を強化する」とは、顧客接点ごとの顧客行動(カスタマージャーニー)を理解して購買体験における顧客の満足度を上げることです。

なぜ顧客接点の強化が求められるのでしょうか。背景となるのは社会情勢の変化による顧客接点の増加と購買行動の多様化です。

インターネットが普及する以前の顧客接点は、テレビCMや雑誌広告といったマス広告、チラシ、ダイレクトメール、コールセンター、店頭での接客、営業活動などが主な手法でした。しかし、インターネットが一般化したことでWebサイトへのアクセスやSNS、アプリ、メールマガジンなど新たな接点が続々と生まれています。

それに伴ってユーザーの購買行動も多様化しています。マス広告を見て店舗に足を運び購入する、会社を訪れた営業の話を聞いて契約するといった従来の購買経路だけでなく、Web広告で興味を持ちサイトを訪問して購入したり、SNSのタイムラインに情報が流れてきたことで興味を持ちECサイトで購入したりと、多様な購買経路が生まれているのです。

経路が異なれば接点ごとのニーズも異なってきます。同じようにWebサイトを訪問したユーザーであっても、興味を持ったきっかけがテレビCMだったのかSNSのタイムラインで知ったのかではモチベーションが違うはずです。

顧客満足度を高めるためには、そのような顧客の行動データを収集・分析し、パーソナライズされたきめ細やかなマーケティングを行う必要があります。

また顧客満足度を高めることで顧客は企業やブランドのファンになってくれます。顧客接点の強化は、顧客と長期的に良好な関係性を築くことにもつながるのです。

顧客接点を強化するにはどうすればいいのか?

顧客接点とは何か?強化するメリットと施策について解説

顧客接点を強化するにはどのような施策を打てば良いのでしょうか。そもそも、どんな顧客接点があるのかは業種や企業によって異なります。

BtoCとBtoBでは顧客接点は異なりますし、店舗を持っているかどうかでも違ってきます。まずは自社のビジネスの全体像を見直して、どのような顧客接点が存在しているのかを考える必要があります。

そのうえで、自分自身が顧客だと仮定して、購買行動をシミュレーションしてみましょう。案外、見落としている顧客接点が見つかるかもしれません。顧客接点を洗い出したら、それぞれの接点ごとに最適な施策を検討していきます。

顧客行動を理解するための施策

顧客満足度を高めるためには、まず顧客接点から得られる情報で顧客の行動を理解する必要があります。その際に重要なのは経路(チャネル)を連携させ、「なぜ顧客がその行動をとったのか」を購買行動全体から考えることです。こうした戦略を「オムニチャネル戦略」と呼びます。

顧客の行動を理解するには、カスタマージャーニーマップを作成するのも有効な手段です。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを購入するに至るまでの行動や感情、思考のプロセスを時系列でまとめたものです。

カスタマージャーニーマップは商品・サービスによっても異なりますが、概ね「認知」「興味関心」「他社製品との比較検討」「購入」といった流れとなります。たとえばテレビCMやWeb広告、SNSのタイムラインといった顧客接点は「認知」にあたりますし、メールマガジンやWebサイトへのアクセスは「興味関心」にあたるケースが多いでしょう。プロセスと顧客接点を組み合わせることで、どの接点をどのように強化すべきなのかが見えてきます。

顧客行動が同じでも、見方を変えると異なる背景が見えてくることもあります。たとえばWebサイトで同じ製品ページを閲覧した2人のユーザーがいたとして、1秒で離脱したユーザーとじっくり時間をかけて内容を読んだユーザーではニーズは大きく異なるはずです。あるいは前後にどのページを閲覧していたかの遷移によっても打つべき施策は違ってくるでしょう。

このように、複数のデータを組み合わせて、ユーザーを理解していくことが大切なのです。

顧客接点ごとの顧客満足度を上げる施策

チャネルを連携して分析した顧客行動をもとに、顧客接点ごとの適切なコミュニケーションを行います。「適切なコミュニケーション」とは言い換えると「顧客を不快にさせないコミュニケーション」ということです。

たとえば過去に何度も商品を購入している常連の顧客に向けて、初回購入でしか使えないクーポンをメルマガで配信しても意味がないどころか、「自分のことをわかってくれていない」と不快にさせてしまう恐れがあります。あるいは、顧客がWebサイトを訪問した際、まったく興味を持っていない製品の広告を出し続けても、やはり不快にさせてしまうかもしれません。

こうした事態は、顧客のWebサイト訪問履歴や購買履歴、過去に閲覧した商品ページ、問い合わせの内容などの情報をチャネル全体で共有することで防げるはずです。

一例として、実店舗を持つECサイトについて考えてみましょう。チャネル連携することで、顧客がオンラインで購入した商品の受け取りを実店舗で行えるようにしたり、問い合わせの回答に購買履歴を反映させたりといったことが可能になります。

チャネルを連携したうえで、接点ごとに顧客一人ひとりのニーズに合わせた一貫性あるコミュニケーションを行うことで顧客満足度を高められるのです。

一貫性あるコミュニケーションを行うために有効な施策の一つがチャットボットです。チャットボットは顧客の問い合わせに対して回答したり、予約や購入、資料請求など顧客の行動を支援するAIソリューションです。その際、顧客の行動データを参照することで、よりパーソナライズした回答やレコメンドが可能になります。

また、人が対応するコールセンターと違って、チャットボットは時間や場所を気にせず知りたい情報について気軽に聞けるというメリットがあり、設置されているだけで顧客満足度を高める効果も期待できます。顧客接点の強化施策の一つとしてチャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ユーザーのニーズや購買行動が多様化した今、あらゆるビジネスにおいて顧客接点の強化が求められています。自社の顧客接点を分析し、顧客満足度を高めるための施策を熟考しましょう。

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