チャットボットの種類と特徴をシナリオ型/辞書型/AI型で解説
24時間利用者とのコミュニケーションを図れる「チャットボット」は、さまざまなシーンで活用されています。
この「チャットボット」には実は複数の種類があり、各々の種類に応じた最適な利用シーンがあります。
当記事では「チャットボット」の導入を検討されている企業様向けに、「チャットボット」の種類や各々の特徴、最適な利用シーン。そして、導入検討の際に重要になるユーザーが「チャットボット」に期待していることを紹介します。
目次
チャットボットとは
「チャットボット(chatbot)」とは、ユーザーの質問に対して自動的に答えを返し、ユーザーとコミュニケーションを行うシステムです。
近年AI(人工知能)を搭載した「AIチャットボット」の発達により、お客様への問い合わせ対応や社内ヘルプデスクでの活用など急速に利用シーンが増えています。
チャットボットの利用シーン
「チャットボット」のシステムは、今や生活のなかに溶けこみ利用されています。その事例を紹介します。
- スマートフォンで用いられている「Siri」のようなAIアシスタント
- 企業のWEBページで、お客様の質問を受け付ける
- 社内の問い合わせに対応するヘルプデスクでの利用
- ECサイトや旅行サイトで、質問を受付て最適な商品をレコメンドする
- 駅や施設に端末を設置して、案内をするシステム
上記の多くは、現在も人的リソースで補っているケースが多々見られます。しかし、人の業務をチャットボットに代替することによって、人件費の削減や業務効率化などさまざまな恩恵を受けられるのです。
チャットボットの歴史
「チャットボット」は、1966年ジョセフ・ワイゼンバウムが発表した、自然言語処理プログラム「ELIZA(イライザ)」に端を発します。ELIZAは、予め登録された質問と回答をベースに、回答を返すパターンマッチの技法を用いたプログラムでした。
その後も「チャットボット」は研究が行われてきましたが、大きな変化があったのは2011年。Apple社がAIを用いたアシスタント「Siri」をiPhone4Sに搭載したことで「チャットボット」は多くのユーザーにとって身近に使うツールになりました。
さらに2016年にはメタ・プラットフォームズ(旧Facebook)やLINE、マイクロソフトなどのIT企業が「チャットボット」とメッセンジャーなどのサービスを接続する環境の提供を開始したことで、企業が自社のサービスに導入しやすい下地が整い、現在ではさまざまなシーンで「チャットボット」が活用されています。
チャットボットの種類
「チャットボット」には質問と回答の処理の仕方によって、いくつかの種類があります。ここではチャットボットの種類を紹介します。
シナリオ型チャットボット
「シナリオ型チャットボット」は、サービス側で選択式の質問を用意し、ユーザーが選んだ結果でシナリオを分岐し回答に誘導する仕組みです。
一問一答型チャットボット
「一問一答型チャットボット」は、ユーザーの質問に対して一つの回答を返す「チャットボット」です。ユーザーは、入力や音声などの手段で自由なフレーズを質問できます。この「一問一答型チャットボット」は回答の処理方法で「辞書型」と「AI型」に分けられます。
辞書型チャットボット
「辞書型チャットボット」は、辞書のように質問と回答のセットをあらかじめデータベースに登録しておき、ユーザーが質問したときにそのフレーズをデータベースから検索し、該当する答えを出力する仕組みです。
AI型チャットボット
「AI型チャットボット」は、AIを搭載した「チャットボット」です。AIが事前にパターンを学習し、質問の意味を推測したうえで適切な回答を行います。さらに、質問と回答を繰り返すことでAIが機械学習を行って成長し、回答の精度が上がっていく特長があります。
各種チャットボットのメリット・デメリット
前章で紹介した、各種チャットボットにはメリットとデメリットがあります。
シナリオ型チャットボットのメリット
- ユーザーは選択肢を選ぶだけなので、質問の入力が不要になり負荷が少ない。
- プログラム構造がシンプルなため、導入コストや運用コストが安価な場合が多い。
シナリオ型チャットボットのデメリット
- ユーザーは複数の選択肢を選ばなければ回答にたどり着けない。
- 入力が不要なため、本当は何を質問したかったのか? ユーザーの潜在的なニーズのデータを取得できない。
- 選択肢を用意していない質問には答えられない。
- 答えられない場合は有人対応が必要。
一問一答型チャットボットのメリット・デメリット
前述の通り「一問一答型チャットボット」には「辞書型」と「AI型」があります。ここでは、この2種類のメリット・デメリットを解説します。
辞書型チャットボットのメリット
- 質問はユーザーがフレーズを入力するため、ユーザーが何を求めているか? データの収集が可能で、潜在的なニーズを把握できる。
- あらかじめ登録されたデータベースを検索するシンプルなシステムのため、導入コストや運用コストが安価な場合が多い。
辞書型チャットボットのデメリット
- 登録されたデータベースにない質問に答えることができない。
- 答えられない場合は有人対応が必要。
AI型チャットボットのメリット
- 質問はユーザーがフレーズを入力するため、ユーザーが何を求めているか? データの収集が可能で、潜在的なニーズを把握できる。
- AIが質問のフレーズの意味を推測し最適な回答を返すため、曖昧な質問にも回答できる。
- ユーザーの利用に応じて機械学習を行い、AIが成長して回答率が向上する。結果、有人サポートの量を削減できる。
AI型チャットボットのデメリット
- ほかのチャットボットに比べて高度なシステムを利用するため、導入コストや運用コストが比較的高価。
- AIに学習させるデータ量が少ないと、回答の精度が上がらない。あらかじめ適当なデータ量を用意する必要がある。
種類別チャットボットの利用シーン
各チャットボットはどのようなシーンで用いられているのでしょうか?
メリットやデメリットを把握したうえで、それぞれの特徴を活かした利用シーンを紹介します。
シナリオ型チャットボットの利用シーン
シナリオ型チャットボットは、ユーザーが選択肢を選んで回答を出します。ユーザー側が自由に質問することはできません。
つまり、質問のパターンが決まっていて質問の「幅」が狭いケースに向きます。
たとえばツールやサービスに「ログインできない」などの場合「IDを忘れたのか」「パスワードを忘れたのか」「再設定のメールが届かないのか」質問は限られています。
また「深度」のある質問に強いことも特徴です。
たとえば宿泊予約をする場合「予定日はいつか」「どこのエリア」「何名で行くのか」「何泊するのか」など、選択肢を掘り下げていくことで、予約まで導くことができます。
一問一答型の利用シーン
一問一答型のチャットボットは、ユーザーが文字入力や音声などの自由なフレーズで質問できる点が特徴です。
なかでもAI型は質問のパターンが決まっていない「幅」の広い質問に効果を発揮します。またユーザーと対話しながら答えを導くので、人に寄り添った質の高い接客を行えます。
たとえば、就職希望の学生の質問に答えるチャットボットの場合「やりがいは?」「給与は?」「休みは取れますか?」などの「幅」のある質問に対応できます。また雑談のようなコミュニケーションで、ユーザーと企業の距離感を縮めロイヤルティを高めることができます。
ユーザーが入力したデータを蓄積し分析できるため、ユーザーのニーズを把握し、マーケティングなどに活用もできます。
これからのチャットボットに求められるコト
ここまで「チャットボット」の種類や特徴を紹介してきました。では、ユーザーがチャットボットに望むコトはどのようなことなのでしょうか?
当社が2022年2月に実施した、チャットボットの利用経験のある1,030名へのアンケート調査にて、「AIチャットボットに期待したいこと」を質問した回答の集計は以下です。
- 「難しい質問にも『わかりません』で済ませず真摯に対応してくれる」(50.3%)
- 「利用者の気持ちや感情を理解して寄り添ってくれる」(20.9%)
- 「利用者との親密度や距離感に応じた適切な対応をしてくれる」(17.6%)
このことから、ユーザーは、真摯に気持ちによりそった「人間らしい対応」を「チャットボット」に期待していることがわかります。
ユーザー体験が重視されるなか、「チャットボット」導入を検討するときには、ユーザーが選択した内容や入力した質問の意味や意図を理解し、「人間らしい対応」ができることも重要な指標として考慮すべきでしょう。
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