2020.05.28(最終更新:2022.05.27)

失敗事例から学ぶ!チャットボット導入で失敗しない5つの対策を紹介!

チャットボットの導入を考えているけど本当に上手く行くのか? 経営層に報告できる成果は得られるか?…など失敗のリスクを懸念している方もいることでしょう。

チャットボットはシステムの導入だけでもコストがかかり、専任の担当者も必要となって会社のリソースを定期的に割くこととなります。また導入しても利用率が低かったり、回答の精度が低いとネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。しかし、チャットボット導入における事前準備がしっかりできれば、期待する成果は返ってくるでしょう。

当記事ではチャットボット導入で失敗しないための対策を、現場でのお客様とのやり取りによる体験から解説します。

 

失敗を防ぐ対策1.チャットボット導入で実現させるゴールを明確にする

チャットボット導入で実現させるゴールを明確にする

チャットボットは導入前の設計が非常に重要です。誰にどんな目的で導入するのか、明確な利用シーンや目標を設定したうえで検討する必要があります。細かく見ていきましょう。

目的とターゲットを明確にする

よくある失敗事例として「ライバルが導入しているから」「DXで何かをしたい」などの目的が不明瞭な状態で導入を進めてしまうことがあげられます。

大切なことは、「誰の」「何を」解決するためのチャットボットなのか、対象と課題を明確に絞り込むことです。たとえば条件が複雑な内容は、チャットボットで解決するには不向きな場合があります。

ニーズや利用シーンの検証

自社のホームページに設置するのが良いのか、LINEなどほかのプラットホームを活用するのか、デバイスはスマートフォンでの利用なのか、パソコンでの利用なのか、サイネージでの利用なのか、音声入力なのか、前項で定義した課題やターゲットとする対象を考慮して検証しましょう。

たとえば高齢者対象のサービスでは、スマートフォンを用いた入力型のチャットボットを提供した場合、利用数が少ないことが想定されます。

Q&Aのデータ範囲を絞り込む

AIチャットボットの初期構築において、Q&Aデータの範囲に「あれも入れよう」「これも入れよう」とつい欲張ってしまうと、結果として精度の低いチャットボットになってしまう可能性があります。

たとえば現場では、特定の課題解決のみのチャットボットを構築する予定だったけれど、プロジェクトが進展していくうちに、他部署の要望や経営層の要望であらゆるQ&Aを詰め込むようになってしまう場合が考えられます。

この場合、データが散漫になってAIの効果的な学習を阻害してしまい、なかなか精度が上がらないAIチャットボットになってしまう可能性があります。

これを防ぐには、特定の課題に絞ったチャットボットを目指すのが理想です。

何のチャットボットなのかユーザーに分かりやすく明示する

チャットボットのアイコンに「〇〇についてお答えするチャットボット」であることを明示したり、リリース最初の発話には「〇〇についてサポートします」と表示させたりすることで、ユーザーの疑問に対する回答の範囲が明確化され、精度の向上にもつながります。

この処理をしないと、ユーザーはAIチャットボットに「わからないことに対して何でも答えてくれる」という過度の期待を抱いてしまいます。その結果「わかりません。」という回答が続くと、利用離脱を招くおそれがあります。

失敗を防ぐ対策2.チャットボットのチューニングを行う

チャットボットのチューニングを行う

チャットボットは公開して終わりではなく、ユーザーの質問に対して答えられなかった内容を分析し、必要に応じたメンテナンスを行うことも大切です。

精度が低い状態で公開してしまう

AIチャットボットは、ある程度の学習量がないと回答の精度があがりません。テストやチューニングが甘い状態でリリースしてしまうと、利用ユーザーからのクレームにつながったり、ブランドイメージを下げる可能性があります。

焦らず検証の上、公開の時期を決めましょう。

公開後もメンテナンスを行い、精度向上を目指す

とくに導入直後が重要です。当初想定していなかった質問や想定外の表記揺れなどが確認できた場合、早期に対処しましょう。精度の低いチャットボットを放置しておくと、ユーザーの離脱や、ブランドイメージの低下につながります。

ただしシナリオベースのチャットボットの場合は、回答範囲のメンテナンスをし過ぎると分岐が増えていき、全体の構成が複雑化してしまうことがあります。そうならないよう、なるべく3階層目までの構造を意識した運用を推奨します。

導線設計の見直し

チャットボットを設置したが、想定よりも利用が少ない、電話などでのサポートが減らない場合は、チャットボットまでの導線を確認しましょう。利用シーンに応じた場所にチャットボットを設置できているか? チャットボットまでの誘導が適切か検証しましょう。

失敗を防ぐ対策3.AIに過度な期待をしない

AIに過度な期待をしない

AIチャットボットは初期構築さえしておけば後は自動的に成長していく、という認識は間違っていません。

ただし、リリース開始直後はベストな状態ではないので、全てのユーザーに対して適切な回答ができるわけではありません。

AIチャットボットは初期構築後の地道なメンテナンスをすることで回答精度が上がっていきます。短時間でより精度の高いチャットボットを作るためにも、ユーザーの利用頻度を増やし、学習量を増やす必要があります。より多くのユーザーが利用できるように利用シーンを想定し、チャットボットへの設置場所や誘導方法を運用のなかで改善していきましょう。
AIチャットボットは、シナリオベース型と比較すると決して安価ではないため、せっかく導入して上手く成果につながらないと費用が無駄になってしまいます。そうならないためにもAI任せな運用にならないよう注意しましょう。

失敗を防ぐ対策4.あらかじめ対応フローを設計する

あらかじめ対応フローを設計する

リリース直後から自由入力方式にすると、ユーザーの質問に適切な回答ができずに、結果として有人対応が必要となって効率化が果たせず、人件費の抑制がかなわないこともあります。

このような事態を避けるために、選択肢を用いたシナリオ型と自由入力方式を組み合わせた運用を行う方法があります。

たとえば、最初に典型的でよくある質問には選択式のシナリオ型で対応し、それでも解決できない場合は自由入力による質問を受付け、それでも対応できない場合はコールセンターなどの有人対応につなげます。

フローを作ることで、ユーザーがどこでつまずくのか検証・改善し、有人対応の率を減らすことができます。

失敗を防ぐ対策5.チャットボットの成果を見える化する

チャットボットの成果を見える化する

チャットボットを導入するにあたり、定量で計測できるKPIをあらかじめ設定して数値で成果をレポーティングできるようにしましょう。

カスタマーサポートの場合

カスタマーサポートならば、有人対応の件数が何割削減できたのか、稼働時間が何割削減できたのか、その結果人件費がどの程度下げられたのか計測する。

また営業時間外の対応ができることで、増加した問い合わせ件数や処理数も重要な指標です。

リード獲得の場合

リード獲得ならば、通常のフォームとチャットボットのCVR(コンバージョン率)を比べてどの程度改善したのか計測する。

ECサイトの場合

ECサイトならば、チャットボットでのレコメンドで、どの程度商品サイトに流入し、どのくらいの売上があがったのか計測する。

チャットボットのパフォーマンス計測

チャットボット事態がうまく機能していることも逐次確認し、数字目標を立てて改善する。

  • 表示回数
  • 質問数
  • 回答率
  • 離脱率

また入力されたデータの内容や、離脱したポイントを確認し、データをチューニングする。

まとめ チャットボット導入の失敗から学ぶ5つのポイント

チャットボットは万能ではありません。導入するだけで上手く行くわけではないので、ここで解説した内容を関係者とクリアにして進めることが要となるでしょう。

あらためてまとめるとポイントは次の通りです。

ポイント

  • 最初のゴール設定を明確にする
  • チャットボットのチューニングを行う
  • AIに過度な期待をしない
  • あらかじめ対応フローを設計する
  • 成果を見える化する

チャットボットを導入して失敗しないためにも、この5つのポイントをしっかり押さえましょう。