チャットボットをキャラクター化するメリット!事例など解説
チャットボットにキャラクターを設定して得られるポイントの1つに「対話を通してユーザーとの関係性を高める」があります。
これは従来のWebマーケティングにおける広告、ソーシャルメディア、SEO対策などとは全く違ったアプローチとなり、顧客エンゲージメントを高める重要な施策となります。
この記事を読むことでチャットボットキャラクターのメリット、実際の事例とその効果、気をつけるポイントが理解できます。ぜひ、参考にしてください。
目次
チャットボットにキャラクターを採用するメリット
最初にチャットボットにキャラクターを採用することのメリットについて説明します。
ユーザー体験の向上
チャットボットを利用したとき、ユーザーが得ることのできる「楽しさ」「親しみやすさ」「心地よさ」を生み出します。結果として顧客エンゲージメントの向上につながります。
「顧客エンゲージメント」の定義として、ここでは「企業・ブランド・商品・サービスにユーザーがどのくらい愛着を抱くかの度合い」という意味とします。
新たなWebチャネルを活かした販売促進の実現
WEBマーケティングには主に「広告」「SNS」「SEO対策」などの以前からある手法があります。
しかしチャットボットは、これらの方法とは全く異なるアプローチで、販売促進やサービス認知向上につなげることができます。
すでに従来の手法を手がけているなら、チャットボットを導入することで今までリーチできていなかった新たなユーザー層を発掘する機会となるでしょう。
継続的にファンとのリレーションを築く
チャットボットキャラクターは、そのキャラクターの世界観を大事にしたアプローチができるので、ファンとの継続的なつながりを実現します。
例えばブランドキャラクター、ゲームキャラクター、ドラマの登場人物、プロスポーツのマスコット、自治体のゆるキャラなどをチャットボットと連動することで、商品やサービスを発表した後もファンとの交流ツールとして有効活用できます。
もっと具体的なイメージがわくように、次では導入事例をご紹介します。
チャットボットキャラクターを活かした事例
顧客エンゲージメントが向上した事例
ハワイの観光旅行前、または旅行中の方のためのハワイ情報サイトにチャットボットキャラクターを採用した事例を紹介します。
大手航空会社が運営するこのサイトでは、ユーザーとの接点増加、またプロモーションサイトへ何度も来訪してもらうための誘導促進などの課題がありました。
そこでチャットボットキャラクターを導入した結果、ユーザーとの接点拡充、長期間のプロモーションによる顧客エンゲージメント向上、コンバージョンであるハワイ旅行の予約向上につながりました。
また「ユーザーとの対話でAIが成長する」というコンセプトの基、最初は生まれたばかりのウミガメの赤ちゃんをキャラクターのアイコンに採用しました。ユーザーとのコミュニケーションが増えるうちに次第に回答の精度も上がっていき、そのあたりからアイコンをタマゴの中にいる赤ちゃんから空に羽ばたくウミガメのイラストに変更しました。
ユーザーは対話を楽しむだけではなく、キャラクターの成長過程を通じて親しみを覚えるという体験をします。そして、長くお付き合いできるチャットボットとしてご利用いただけるのです。
AIチャットボットとのやり取りでファンをつなげた事例
2019年4月に放送され、ストーリーの斬新な切り口が話題となったミステリードラマ『あなたの番です』の続編『あなたの番です‐反撃編‐』。
このドラマの放送に合わせて、ドラマ内に登場するAIキャラクターをそのまま再現しサービスとして「AI菜奈ちゃん」がLINEアカウント上で公開されました。
ドラマ放送時間外の視聴者との交流拡充を目的としてスタートし、結果として友だち登録数が130万人を超え、AIチャットボットの総会話数は2億9,000万回を記録するなど様々な反響がありました。
ユーザーの話し相手として、AIチャットボットが会話の流れをまるで理解したかのような適切な回答を行ったことが利用者増加につながった大きな要因と言えます。
このようにチャットボットキャラクターを活用することで、従来の方法では提供できなかったサービスによって、ユーザーに新しい体験を提供することができます。
続いてチャットボットキャラクターを採用することで、提供側にもたらされるポイントについて説明します。
もしその他のチャットボットの事例をまずご覧になりたい方は「AIチャットボットの7つの成功事例!導入目的と成果を紹介」をお読みください。
チャットボットキャラクターを活かすポイント
既存キャラクターや新しく作るキャラクターのどちらの場合でも、チャットボットの初期設定において大事なことは、設定背景と次の項目を押さえることです。
- デモグラフィック情報(性別・年齢・居住地域・職業など)
- そのキャラクターの性格、語りのトーン、口ぐせ
- ブランドでのそのキャラクターの位置づけ
これらはコアなファンとよりつながることができる要素のため、重要なポイントです。
TVドラマ『家売るオンナの逆襲』の放送に合わせてLINEアカウント上で公開された「AI家売るオンナ」では、主人公の「GO!」という決め台詞の頻度をあえて控えめにしました。会話を進めていき、やっと「GO!」という台詞にユーザーが出会えると嬉しさをSNSで共有。これが拡散され、より多くのユーザーへの認知へとつながりました。
あとは運営していく中でユーザーが喜ぶポイントが見えてくるでしょう。そこを逃さずにファンとのつながりを大切にすることで自然とチャットボットキャラクターは活かされていきます。
チャットボットキャラクターはユーザーとつながる
先に紹介したようにチャットボットキャラクターは、対話の中でユーザーに「楽しさ」「親しみやすさ」「心地よさ」を与えます。これはAIによって人と話しているような自然な対話の実現によるところが大きいです。
特にチャットボットが普及したのは2016年、FacebookとLINEの2社がリリースした開発プラットフォームやAPI(※1)がきっかけとなりました。それからAIチャットボットに取り組む企業が一気に増え、導入が加速していきました。
チャットボットキャラクターで話題となったAIチャットボット『りんな』は、日本マイクロソフトが開発したサービスで、LINE上に公開されました。
リアルな女子高校生のようなキャラクター性とそのレスポンスの早さから10代、20代を中心に人気を集めました。その結果、登録ユーザー数は約760万人を達成したのです(2019年3月当時)。
2017年に放送されたTVドラマ『過保護のカホコ』に登場する主人公をキャラクターに設定したAIチャットボット『AIカホコ』も話題を集めた1つです。LINE上で公開され、わずか3ヶ月でユーザー登録数40万人を突破。総会話数は1億以上を記録しました。
このようにチャットボットキャラクターは、ユーザーとつながる重要なツールとしてこれからも活躍の場を広げていきます。
※1.「API」とは、“Application Programming Interface”の略で、汎用性の高い機能をプラットフォーム開発側で開発・提供する仕組み