導入事例インタビュー
― 小林製薬株式会社様 ―

1ヵ月でユーザー2万人超!
女性の様々なお悩みに寄り添うために小林製薬がAIチャットボットを導入した理由

小林製薬株式会社様

「“あったらいいな”をカタチにする」をコーポレートスローガンに、医薬品や衛生商品など約150のブランドを展開する小林製薬。今回、女性の心と身体の健康に寄り添うフェムケア商品である「命の母」の総合サイトに「goo AI x DESIGN」を活用したAIチャットボット「命の母AIお悩み相談」を導入した。人によって千差万別と言われる更年期や生理に関するお悩みに対し、一人ひとりに寄り添ったアドバイスや商品レコメンドをするためにはどのような工夫が必要だったのか?今回、「命の母」シリーズのブランドマネージャーである白石千夏氏に話を伺った。

“女性の50年間をサポート”するために。goo AI x DESIGNのチャットボットを導入した理由

まずは、ご担当されている「命の母」シリーズについて教えてください。

白石氏:弊社は「“あったらいいな”をカタチにする」をコーポレートスローガンとして掲げ、お客様が「あったらいいな」と思うようなものを開発し、製品にしています。お客様がまだ満足されていない未充足の部分を見つけ出して、「なくてはならないもの」にしていくことをミッションとしています。
「命の母」シリーズは、症状に合わせて現在7種類のラインナップをそろえています。最初に発売した「命の母A」は、明治36年に作られた日本初の女性のため保健薬です。開発者の母親が体が弱く、子育てや農業の両立に苦労していたため、母親を元気にしてさらに家族みんなを元気にしたいという想いから作られました。
その後、更年期障害だけではなく若い女性向けの製品や肌荒れや眠気など、女性ホルモンによっておこる様々なお悩みに合わせた製品を開発し、現在のラインナップに至ります。
さまざまなお悩みに応えることで、「女性の20歳~70歳の50年間をサポート」したいと考えております。

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命の母ブランドのラインナップ(2021年12月現在)

ありがとうございます。今回、「命の母」ブランドサイトにgoo AI x DESIGNのAIチャットボットを導入するきっかけは何だったのでしょうか?

白石氏:「女性の20~70歳までの50年間をサポート」するためには、適した商品を適したお客様に届ける必要があると思っています。そのためには、一人ひとりのお悩みや症状をしっかり聞いてレコメンドする必要があると考えました。これまでウェブサイトでは単純なチェックコンテンツを提供していたのですが、それでは物足りないと感じていました。

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命の母Aブランドサイト
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これまでの製品利用者の声や属性情報などのデータを活用できないかといった点も課題でした。goo AI x DESIGNのチャットボットは、人と会話しているかのようにお悩みや症状をヒアリングできるため、気軽に使っていただけるのではないかと考えました。さらにたまったデータを活用し、AIによる一人ひとりに寄り添ったレコメンドが可能であったため、より柔軟なアドバイスや商品提案ができると思い、導入に至りました。

運用開始から1ヵ月でユーザーが想定外の2万人超

従来のチェックコンテンツにはどのような課題があったのでしょうか

白石氏:生理や更年期による不調は、自分自身ではそれが何が原因で起こる不調なのか分からないことが普通です。従来のチェックコンテンツは、年齢や簡単な症状をもとに商品をおすすめする単純な内容で、一人ひとりのお悩みや症状に合わせたレコメンドはできていませんでした。
しかし、まだ商品が命の母Aと命の母ホワイトの2種類しかなかった頃でさえ、多くのお客様がそのコンテンツを利用しており、それほど自分が生理か更年期かどちらの症状なのか分からず、どちらの商品を飲んだらいいか悩んでいるお客様がたくさんいるのだなということを実感していました。現在命の母ブランドには、7種類の製品がありますが、これほど製品が多いと、従来のチェックコンテンツだけでは様々なお客様のお悩みに応えきれず、どれを使ったらよいか分からないというお悩みがさらに出てくるだろうという点も課題でした。

運用を開始されてからの率直な感想をお聞かせください

白石氏:現在このチャットボットは、1ヵ月で2万人以上の方が使ってくださっています。実はまだ広告等の宣伝は行っていないのですが、これほど多くの方が使ってくださっているということは想定外で驚きました。やはり多くの方が生理や更年期の不調に関して困っており、興味関心がすごく高いのだなと改めて実感しました。
また、利用者は若い方が中心になると予想していたのですが、データを見ると実際は40代前後のお客様が一番多く、驚きました。やはりその年代の方達が多くのお悩みを抱えているのだなということも分かりました。

お客様一人ひとりに寄り添う機能で得られた「本音」とは

今回のチャットボットでこだわった点を教えてください

白石氏:お悩みや症状を入力する際、選択肢だけではなく自由文を組み合わせることで、選択肢では補えないユーザー自身の言葉で伝えたいことを詳細に入力できるようにしました。さらに、入力したお悩みや症状に似ている他のユーザーのコメントをAIの類似性判定技術*1で導き出したり、お悩みのレーダーチャートを表示する点もこだわりました。
女性は「人と比べて自分はどうなのか」ということを気にされる傾向があります。そこで自身と同じようなお悩みを抱える人のコメントや、他の人と症状を比較するレーダーチャートを表示することで「私だけじゃないんだ」という安心感や共感、「私も命の母を飲んでみよう」というきっかけ作りができたら良いなと考えました。
安心感や共感は、ただ単に症状のタイプや製品をおすすめするだけでは得られないと思っており、会話形式でお悩みをヒアリングするチャットボットの“人間味”があるからこそ得られるものだと感じています。

*1単語表記のキーワード検索だけでなく、入力した自然文の意味を理解するgoo AI x DESIGN独自の日本語解析技術

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お悩みを入力すると、自分に合った商品や似ているユーザーのコメントを表示する

また、キャラクターの口調もこだわりました。年代問わず好き嫌いが無く、好感度が上がるような柔らかい雰囲気をイメージして作成しました。女性特有のお悩み相談ということもあり、親身になってくれそうで、且つ人ではないから話しやすいという良いバランスが取れたと思っています。アイコンは当初はロゴにする案もありましたが、キャラクターにすることで機械的にならずに話しかけやすい印象になったと感じています。

選択肢だけではなく自由記述を組み合わせたことで、多くのお客様の声が得られたと伺いました

白石氏:はい、当初想定したよりも多くのお客様が自由記述にお悩みや症状を詳細に記入してくださっており、驚きました。自分のタイプを正確に知りたいからこそ詳細に記入してくださっているのだと感じています。

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自由記述された文章をAIxDESIGNの類似性判定技術で解析し、結果に反映する

お客様の自由記述から得られた気づきや発見はありましたか?

白石氏:一般的なアンケート調査ではなかなかわかりづらい、お客様の本音を知ることができていると感じています。実際にチャットボットで得られたお客様の声をもとに、新製品やサービスの開発に生かしております。このような効果はもちろん開発当初は想定していなかったのですが、AIチャットボットだからこそ人間に相談するよりもハードルが下がるので、気軽に悩みを相談しやすいのだなと感じました。

女性特有のお悩みは人に話しづらいということもあると思います。そういう意味でも相手がAIなので気軽に使えそうですね

白石氏:はい。特に現在はコロナ禍ということも相まって、なかなか人と会えず簡単な雑談もできない状況下なので、チャットボットが会話形式であることによって、少しでも誰かと話している感覚を与えられたというのは時代のニーズにも適していたのかもしれません。

その他、AIxDESIGNのAIチャットボットを導入してよかった点や、開発期間に感じられたことなどあれば教えていただけますでしょうか

白石氏:今回の様に、ブランドの製品を売るための戦略としてAIを活用したことが初の試みであったため、弊社内でもとても話題となり、評価をいただけているので良かったと感じています。
また、既存のチェックコンテンツにはなかった、似ているユーザーを表示する機能やレーダーチャートを実装できたことも良かったです。千差万別の更年期や生理の症状やお悩みに対して、単純な機械仕掛けのロジックでは拾い切れないアドバイスや、自分のことをわかってほしい、共感してほしいという女性の気持ちに応える事ができたと思っています。

それに、NTTレゾナントさんは、開発期間は毎週MTGを実施して私たちの細かい要望を取り入れて下さり、気がついたら思い描いていたAIチャットボットができてしまった、という感じでした。もともと私はAIに関して全く知識がなかったので、頭で思い描いたイメージや要望をできるだけかなえてくださって、本当に感謝しています。

フェムケア商品×テクノロジー活用でもっとお客様に寄り添いたい

今後挑戦していきたいことがあれば教えてください

白石氏:「命の母AIお悩み相談」はまだまだ完成とは思っていません。「お客様の50年に寄り添う」と言うからには、女性ホルモンによるあらゆる不調に対応する製品ラインナップをそろえ、チャットボットの運用から得られたデータも活用し、似ているお悩みや症状、製品レコメンドの精度向上を目指します。AI等のテクノロジーを活用したこのようなフェムテック分野は今後も力を入れていき、もっとお客様の気持ちに寄り添った回答が出せるように改善していきたいと思っています。

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今回のチャットボットの利用者、また今後チャットボット導入を検討している企業へのメッセージやアドバイスがありましたらお願いします!

白石氏:まずはチャットボット利用者の皆様へ。イライラしたり落ち込んだり、食欲や眠気に悩まされたり…と、生理や更年期では今までになかった不調が出てきてしまい、自分ではなかなかコントロールが難しく不安に感じてしまうことは多いと思います。女性ホルモンに影響されずに、もっと自分のやりたいことを全力でやり、様々なことにチャレンジし、生理の期間も更年期の期間も楽しく過ごしてもらうために、是非命の母シリーズなどの製品を頼っていただきたいと思っています。その際に、自分がどんな製品に頼るべきか分からなかったり、自分の症状にあった製品を知りたいと思った場合は、「命の母AIお悩み相談」を使っていただくと、適した製品が出てくるので、試してもらえたら嬉しいなと思っております。

次に、今後チャットボット導入を検討している方へ。今回、「お客様の50年を支える」ために、20代~70代までのすべてのお客様が共通して頼れるツールを作りたいと思っていました。AIを活用することで、これまで蓄積してきたデータの利活用ができ、さらにお客様の“誰かに相談し、共感や安心を得たい”という気持ちに寄り添ったチャットボットを実現していただけたと感じています。たまったデータの活用方法や、AIチャットボットの導入に悩んでいる方は、まずは相談してみることをお勧めします。これは無理かな、と感じることも相談すれば叶うよと伝えたいです。

ありがとうございました。